A055-フクシマ(小説)・浜通り取材ノート

【寄稿・フォト記事】  総理官邸前デモ=石田貴代司

 7月6日(金)盛り上がる「原発再稼働反対デモ」に参加、取材した。前週の金曜日の参加者が主催者発表で15万人と話題を播いていた。

 大飯原発再稼動後はじめての金曜日だ。3時30分ころ、主婦や子供連れも見られた。夕方6時前から降りだした雨にもかかわらず、官邸前最寄のメトロ駅の出口から、勤め帰りの人たちが会場にやってきた。
 主催者と警官の声が一気にトーンアップした。

   <シュプレヒコール>
「再稼動反対」「原発要らない」「総理は交代」など、首都圏反原発連合会などのリーダーの発声に続いてリズミカルな大声で繰り返す。
 官邸前の抗議行動は市民団体有志が3月に始めた。当初は300人だったが、ツイッターなどの呼びかけで、回を重ねるごとに増えている。一昔前の殺伐としたデモと違って、
主催者側いわく「けが人や逮捕者が無いデモで訴えよう」というのが特色である。
日本のデモが大きな転換点にあるようだ。

                            <フクシマを救え>

 国会記者会館入り口の、門扉に立ち上がってプラカードを掲げた青年に聞いた。「このデモと福島復興は、根は一緒だけど、フクシマの復興には、まだ殆ど手がついていない事実を知ってほしいのです。相馬から来ました」と。
駐車場出入り口のミラーに、後ろの舗道にひしめく大群衆が「再稼動はんた~い」を大きく叫んだ。

 岩上安身(いわかみ やすみ)IWJ(Independent Web Journal)という独立系の代表だ。大手のマスコミが権威や広告などに縛られて重要事項まで報道しない姿勢に対抗して活躍している。この夜、参加してきたYMOの坂本龍一に唯一インタビューし、映像を配信した。この日は新党日本の田中康夫も汗をかきながら、風船配りに大忙しだった。

ジャーナリストの上杉 隆も同じだ。
     
  <雨にぬれて>
 夕刻まで曇り空だったことから、傘を持たない参加者が多かった。議員会館横にずらりと15台並べた警視庁機動隊のバス(通称カマボコ)から出てきた警官によって、車道にはみ出さないように押し込められた群集は、動きが取れないで気の毒だ。「再稼動反対」と大声で唱和するのみだ。
 坂本龍一は混乱の中、そばにいる岩上氏にも礼を言ってマイクに向かって「辛抱強く続けましょう」と語った。
                           
                           <光明はあるのか>
 機動隊が大勢出動した総理官邸周辺の出来事なのに、7/6(金)夜NHKニュース9では、10秒間のみ、翌朝の日経は0行であった。主催者も「10万や20万の動員で、世の中変わらない、しぶとく続けよう」と呼びかけた。一部マスコミも「デモでようやく日本にも民主主義の萌芽が・・」と伝えたのを見た。地方への波及も地味ながら進んでいる。

                          写真・文 石田貴代

        

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