婚約者は刑事 ③ 5回連載(006 多摩川)
更新日:2008年5月21日
婚約者は刑事 5回連載① 【世田谷・岡本】
婚約者は刑事 5回連載② 【銀座】からのつづき
死ぬ。そういっていた布施和香奈(ふせわかな)の電話番号は知らない。動かない電車からでは、彼女に連絡の取りようがなかった。
井伊佳元(いいよしもと)は横目で、車中やホームの乗客たちをみた。その多くがケイタイで、電車が停まった、遅れる、という内容をしゃべっている。ある意味で、電話連絡が取れること自体がうらやましかった。
かれは車内放送に耳を立てた。復旧情報はまったく曖昧で、役に立たない、お詫び放送ばかり。
110番も考え、そのシミュレーションもしてみた。布施和香奈が川に飛び込むかもしれない、と訴える。
警視庁の司令室からは、警察官が多摩川に駆けつけてわかるものはなにかと、彼女の特徴を聞かれるだろう。顔とか、容姿はことばにすれば、漠然としている。どんな服装かと訊かれても、それすらもわからない。多摩川流域のどこらあたりか。
その場所となると、二子玉川駅付近だろう、というていど。はっきりしない。挙句の果てには、いたずら電話だ、と思われるかもしれない。
全文(006 多摩川)は写真、またはこちら左クリック。(印刷による読書がお勧め)
写真モデル・奈良美和さん(コーチ/コミュニケーションアドバイザー)
【本文とはいっさい関係ありません】
発行・著作権:穂高健一。無断転載およびリンクは厳禁。