新企画・『TOKYO美人と、東京100ストーリー』は4月上旬から掲載
ここ数年はジャーナリストの活動に傾斜していた。多くの人に接し、多くのことを学び、さらには活動範囲がずいぶん広まった。知識、精神面で得るものが大きかった。他方で、なにかしら自分自身の気持ちのなかには、物足りなさがあった。それは「小説」の執筆に向かい合っていなかったことだ。
小説を書き始めから30年間。執筆活動の集大成として、「短編小説を100編」を書くと決めた。その日から、途轍もなく、集中力、アイデア、体力と気力が自分に要求された。これまで登山、マラソンなどをやって持久力はあるほうだから、精神面ではやれるだろうと思っている。ただ、漠然と書き散らせば、ストーリーやアイデアが枯渇し、行き詰まる。そこで、主人公は1人と決めた。
小説で描く美人の顔となると、『鼻梁が高い、目鼻立ちがはっきりした』という表現で、ワンパターンになってしまう。100篇も書けば、みな類似的。これでは読者がついてこない。これをクリアするためには、「小説+写真」でいこうと決めた。これならば、ポートレート撮影が好きな自分の領域で処せる。当然ながら、10人が10人の顔はみな違う。読者も、次はどんな女性かと興味をもってくれる。
小説では背景となる場所が重要だ。主人公が全国を飛び回れば、バリエーションはある。それでは写真撮りは不可能だ。東京のメジャーな場所を使う。東京ならば、100ヶ所ぐらいあるだろう、と決めた。これらの着想から、『TOKYO美人と、東京100ストーリー』というメインタイトルが浮かんだ。
小説作品は一般的に、あとからイラストなどを画いてもらう。私は発想を逆にした。写真撮りを先行し、それらのイメージから小説を書く。それは『東京下町の情緒100景』の執筆方法でもある。住まいに近い、素朴な下町の写真を撮ってきてから、エッセイ風などさまざまな文章を付加させた。この方法だ。
私は短編が苦手で、ストーリー展開で読ませる中編、長編向きである。体質と違った短編で押すとなると、かなり無理が生じる。そこで、場所は100ヶ所だが、1人の写真モデルに対して、2~3の連載ものにする。それにサブタイトルをつける。これならば、読者も期待度が高まるだろう。
『TOKYO美人と、東京100ストーリー』第1回の写真協力者は、福本恵子さん(国際イメージコンサルタント)である。台場、浅草、隅田川クルージングを受け持ってもらった。台場(400字詰め20枚)と浅草(同30枚)は書き上げた。数人に下読みしてもらった。「次を早く書いてください」と急かされてしまった。
「小説+写真」の狙い通り、登場人物の写真描写の効果があった。
奈良 美和さん(ビジネスコーチ、二子玉川、砧公園ほか)、瀧田麻由さん(東京大学、桜の名所ほか)、武内紀子さん(俳優、下町界隈)、という写真協力の快諾を得ている。
『TOKYO美人と、東京100ストーリー』は4月初旬から、10日に一本の割合で連載していく、という方向で、写真撮りと執筆を進めている。