カメラマン

秋深し、燃える紅葉の上野恩賜公園=写真で散策

 東京にも、紅葉の盛りになった。赤よりも、黄色で染め抜かれる。

 上野恩賜公園は銀杏が見ごろになっている。

                                     撮影:2102年11月14日


 路面の落ち葉が風に舞う。

 今夜から冷え込みが強まりそう。



 秋の情感は若いカップルのささやきからも得られる。


 上野駅から迷わず、公園へと進む。

 JRでも、京成でも、地下鉄でも、上野駅ならば、どの路線も近距離だ。

 

 上野恩賜公園には、晴れた日は必ず大道芸人がいる。それも楽しみの一つだ。

 東京都公認だから、だれもが妙技を見せてくれる。



 秋の日はつるべ落とし。

 傾いた陽光は路面にシルエットを造る



 夏を過ぎた噴水は、役目を終わったのか、まわりには誰も近寄ってこない。

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ある1日「出会った人、声をかけた人、通りすがりの人」=写真で散策

 昔は暴走族の頭だった。いまはサンショウウオの研究者です。

 風格は消えないものだな。



 母親に取材していたら、「子どもの写真を撮ってください」と言われた。

 わが子はかわいいんだな。実際に可愛い子だった。

 インタビューしていたら、猿がキスをする。

 「この子は焼きもちやきなんです。人間にも嫉妬するんです」

 人間も、類人猿だしな、と思ってしまった。



 女性の取材に応える、祭りの頭だ。

 「わっしょい」「セイヤー」の違いを語っていた。

 

 神妙に礼拝する人。願いごとは何か。

 「われは他力本願ではない。あくまでも、神を崇拝するものなり」


 手作りの神輿を担ぐ少年。

 こうした独創性、発想力はきっと将来は役立つだろうな。

 なにかと「いまの若い者は」という中高年にこそ、知らしめたいな。


 「勇気ある人だな」と感心させられた。

 なかなか初対面で言えないものだ。

 こちらが胸のリボンを見て、単に取材しただけなのに、

 「私は公職選挙法の違反に問われてしまい、区長の座を追われました」と話す。

 一度は数十万人の首長になった人だ。

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永く遺したい、日本美の建築・内装の魅力はここに=写真で観る

 東京の台東区と文京区にまたがる、谷中・根津・千駄木(通称・谷根千)は、戦前、戦後の風情を残す。とはいっても、町並みは新しく変化し、変貌してきている。『東京の下町の歴史と情緒にふれる』という名のもとに、観光化されているのが実態だ。

 あえて探さなければ、本ものの日本文化の風情や趣きは得ることはできにくい。外観からは古風な造りだなと探し当てても、建物に入って、内装までみることはできないのが常だろう。

 文豪たちが住んでいたころの建物の、内装を撮影できる機会が得られた。

 日本の建築美の最も輝く場所は、床の間である。

 畳の間を飾る、「座敷飾り」だが、掛け軸や活けた花などを飾る。

 客人が来れば、床の間を背にして座ってもらう。

 こうした礼儀作法が、幼い頃から躾けられていた時代があったのだ。

 座敷と座敷との間を通り抜けるには、家人ばかりでない。

 表から裏へと風が通り抜ける。その先には、手入れの良い内庭の景色も見通せる。

 茶室の小さな庭には、石灯籠と手水鉢がある。

 茶事の前に、客人が手を水で洗い、心身を清めるところ。

 和の趣きがたっぷり伝わる。

 茶室から見る、庭には奥深い風情がある。

 茶庭は左右と前後の配置にも、無駄がなく、眺めるほどに心静かな心になれた。

 「奥座敷へどうぞ」
 この廊下の空間が、日本人の心に適している。
 洋間だとドアで仕切られた、隣りあわせ。

 和室には部屋から部屋へと静かに歩みながら、精神の心構えと空間のゆとりが生まれる。

 

 欄間と天井が竹細工である。渋い。しかし、妙に新しさもある。

 竹は歳月がたつほど艶やかになる。

 こうした竹のしなやかな味わいを取り入れた、日本の古来の伝統美が生かされている

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戦前・戦後にあった日本美の家庭内小物=写真で観る

 私は、写真に人物を入れて撮る。なぜならば、人間がもっと感動するのが人間だから。
 千駄木のある旧家の茶室を訪ねた。
 そこには素晴らしい、一昔前の小道具があった。懐かしくもあり、手にも触れたくもなる。せめて、写真で残そうと思った。
 遺産的な撮影となると、人物は却っておかなくとも、小物自体に渋い表情がある。そう判断し、今回はいっさい人物を配していない。

茶室のお茶道具です。戦前の東京大空襲にも、焼けずに残った、貴重な道具です。



 価値ある茶器が入っていることでしょう。


 現在でも、冬場の茶室では、利用しているようです。

 火鉢に手を添えて、団らんをする。一昔前の日本の風景として、どこにもあったのですが。

 除虫菊から取れた、蚊取り線香で、蚊を追い払う。

 現在のような、科学的な薬剤の噴射よりも、なにかしら身体に安心。そんな感じがします。



 大家族時代は、一つ屋根の下で暮らす。廊下は暖簾で仕切られている。こうして、祖父母、夫婦、若夫婦、子どもたち、と住居区分がなされていました。
 

 竹囲いの一輪挿し。風情がありますね。

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夏の夜の涼味を求めて(浅草、神楽坂、赤坂)=写真散策シリーズ

 夏の夜は蒸し暑く、クーラー病にもなりやすい。納涼のイベントはあちらこちらで行われている。足を運ぶと、涼感が得られるものだ。

 東京・下町に住むものとしては、浅草などは身近な存在である。

 地下鉄・浅草駅を降りると、目の前が真っ赤な橋で有名な・吾妻橋である。

 ライトアップされているし、それらの光が隅田川の川面に映り、きらめく。

 隅田川に架かる橋として、最も絶景の一つだろう

 吾妻橋から、視線を左手にすると、アサヒビールの屋上の雲形(名まえは?)があり、そして東京スカイツリーだ。
 
 夏には灯籠流しも行われている。(かなり混み合うし、河岸に近寄れないので、行事がない日の浅草の夜のほうが、むしろお勧めだ。

 隅田川からお台場への船旅も楽しめる。屋形船からの夜景などと、バリエーションは多い。
 

  


 東京スカイツリーは、もはや定番になりすぎたし、さして写真で撮る価値もあまりなさそう。

 でも、ほぼ真下まで行って、撮っておくかな。

 ふだん東京に来る機会が少ない方は、吾妻橋を渡り、スカイツーまで、夜の散策も味があるだろう。下町だけに、閑散としているけれど。

 神楽坂の阿波踊り大会は、楽しい。各地から、数多くの団体が来る。
 
 他地区の阿波踊り大会は、人垣を超えて、背伸びしてみる感じが多い。神楽坂では、路肩に腰を下ろすカップルたちも、短時間に移動するから、場所取の苦労はない。すぐまじかで見られる。


 阿波踊り特有のに、個人の妙技が愉しませてくれる。

 笛、太鼓、三味線の軽妙なリズムで、熱気が一段と高まる。


 子どもたちも真剣なまなざしで参加している。

 神楽坂の阿波踊りは、子どもたちの参加比率が随分高いように思える。

 三味、太鼓、これは神楽坂芸者の伝統。だから、子どもたちも習い事として、身につけているのだろう。


 お姉さんの踊りを観ていると、「踊る阿呆に、見る阿呆、おなじアホなら、踊らにゃ損々」とまさに踊る阿呆をエンジョイしている。

 きっと普段の性格も明るいのだろう、な。




 神楽坂の老舗の店が、店頭で屋台を出している。

 近くでビールを買い、屋台でつまみを求めてから、阿波踊り見物は妙にオツである。

  他人を楽しませる技をもっている。
  根からの芸人の素養があるのだろう。

  参加団体を見ると、厚生病院とか、区役所とか、世間では固い仕事といわれるチームがことのほか多い。
 
  この方も、素顔は案外、固いかもしれない。


 東京ミッドタウンのキャンドルナイトは「 ~星にねがいを~」がテーマだった。

 キャンドル一つひとつに、着火マンで灯りをつけていく。見ている方が、大変だな、と思ってしまう。

 東京ミッドタウンのテラスでは、テープルにキャンドをつけてくれる。

 静かな夜を過ごせる。

  日没とともに、キャンドルが浮き上がってくる。

 テーマ「~星にねがいを~」がしっかり伝わってくる。

 夜の納涼は花火もあれば、祭りもあるし、盆踊り大会もある、あちらこちらで愉しめる。
 クーラーのきいたTV観戦から、戸外に出てみよう。思いもかけない発見があるものだ。

美しき日本舞踊を魅せます・第8回「さつき会」=東京・品川 (1)

 舞踊教室さつき会は13年目を迎えた。第8回「さつき会」が7月1日、東京・品川の「きゅうりあん小ホール」で開催された。
 舞台経験者は10年以上から、初めての踊り手までと幅広く、日ごろの練習の成果をいかんなく発揮された。今回は尾上菊礼さんが賛助出演し、韓国舞踊の李花子さんも友情出演した。


 カメラマンの私は、舞台の踊り手の顔の表情、手足の動き、さらには衣裳の美しさとライトアップとの兼ね合いを狙ってみた。出演者全員の舞踊の幻想空間も表現してみた。
                                         撮影:穂高健一


      深町麻子   大和楽:おせん

美人で有名だった、おせんの夕涼みの様子。
夕暮れの情景のなかに、踊り手の濃艶さがあふれる、深町さんは女優です。


      尾上はる      常磐津:三ツ面子守

子どもをあやすために、オカメ 、えびす、ひょっとこの面をかぶって踊り分ける。難曲です。      


       尾上はる      常磐津:三ツ面子守


       松本美智子   長唄:藤娘


有名な長唄です。藤の精が藤の枝を持ち、華やかに舞います。 

       李花子     韓国舞踊:関良舞(ハンリャンム)

韓国の舞踊の先生です。友情出演してくださいました。 


       藤波大     長唄:老松

長唄の代表的なご祝儀曲です。男性の黒紋付き、はかま姿はとても良いですね。
           
 

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美しき日本舞踊を魅せます・第8回「さつき会」=東京・品川 (2)

       広瀬麻美    長唄:羽根の禿


小さい少女の踊りです。普通はベリーショートの立川こはるさん(落語家)です。


       小野貴子    花は花なり

宝塚の主題曲です。真矢みきさんの歌です。尾上五月が振り付けをしました。



       古賀晴枝     男新門辰五郎


火消し辰五郎のカッコ良い男舞です。 尾上菊一郎先生が振り付けしました。


  

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美しき日本舞踊を魅せます・第8回「さつき会」=東京・品川 (3)


       田中優子   長唄:藤音頭

藤の精がお酒を飲んで酔っぱらい、少々色っぽく踊る場面です。



       川辺順子    長唄:近江のお兼


後半さらしを振る、とにかく体力の必要な踊りです。頑張りました。


       川辺順子    長唄:近江のお兼


       山田晴恵     古都逍遥


都はるみの唄です。菜の花を持った娘の踊り。尾上五月が振り付けをしました。

         小俣信子    古城

三橋美智也の名曲・古城です。袴をつけて、凛々しく踊りました。       

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穂高健一写真展『3.11を忘れない~大津波の傷あと』=8月19日(日)

 第8回『こまえ平和フェスタ2012』が8月19日(日)に、狛江エコルマホール(小田急線・狛江駅北口の小田急OX4階)で、午後1時30分から4時30分(開場12時30分)開催される。入場料(協賛金)は100円以上。タイトルは「戦争を忘れないで語り継ごう 子どもたちの未来のために」である。

 大震災から2度目の夏である。同フェスタにおいて、三陸で取材活動をする私に声がかかり、穂高健一写真展『3.11を忘れない~大津波の傷あと』が展示される。撮影場所は宮城県・閖上(ゆりあげ)、女川、気仙沼、気仙沼大島、岩手県・陸前高田、大船渡である。
 8/20~8/24は狛江市役所ロビーでもみられる。
 
 三陸の大津波は明治から何度も数万人の犠牲者を出してきた。三陸リアス海岸にすむ人々は、なぜ数十年ごとに大津波の危険がある、とわかっているのに浜辺に住むのか。それは長く疑問だった。

 3.11大津波のあと、私はこの疑問と向かい合おうと決めた。被災地の人がどのように心を傷つけられたのか、どのように生きていくのか。人間の心の中までは映像化できないし、それを克明に描けるのが唯一、小説だと私は考えているからだ。

 小説取材は昨年の秋口からはじめて真冬でも毎月、現地に足を運んでいる。5月は3度も出向いた。
 この間に、泣きながら話す人も男女を問わず数多くいた。
「父ちゃん、イカダから早く上がって来い、早く来い、と手招きしながら流されてしまった」
「父ちゃんとは父親ですか?」
「うちの亭主だよ」
 最初のころは表現の戸惑いもあった。

 死んだとは言わず、流されたという。ご遺体が陸上で発見されても流されたという。死に対する微妙な表現の奥底には、なにかしら解明すべきものがある、と私は思いはじめた。
 妻を亡くした、子どもを亡くした、心の痛みは抱えながらも、「小説書くならば」と多くの人たち、胸襟を開いて、心の傷を話してくれる。

 やがて、三陸の人たちには津波が来た海を憎んでいない、そうした風土があると気づいた。
「津波は悪いことばかりじゃないんだ。人間が汚した海底のヘドロを掃除してくれるから、3年くらいは良い漁獲になるんだ」
 漁師たちは津波と共存しているのだ。むろん、生命をかけながら。

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夏の風物詩・浅草「ほうづき市」=写真散策シリーズ

 7月に入ると、梅雨の大雨と、真夏の炎天下が数日ごとに交互する。

 7月9日(月)、10(火)は、東京・浅草寺の境内で恒例のほうずき市が行われた。


 浅草は東京スカイツリーの人気で、ずいぶん人出が多くなった。

 戦前、戦後は繁華街と言えば浅草だった。高度成長期から銀座、渋谷、新宿、池袋に客が奪われ続け、長期にわたって商店街や仲見世は閑散としていた。

 いまではツリー様さまである。


 ほうづき市はどの露店も一鉢が2500円で決まっている。あとは売り子の腕次第。

 とはいっても、男性客はおなじ価格ならば、美人の売り子と考えるのが世の常だろう。

 ほうずき市の露店は毎年きれいな女性を揃えているのが特徴だ。


 7月9日(月)の午後2時になると、外気温が30度を超えた。

 売り子の女性は頭に手拭いを載せ、熱射病を防いでいる。


 ほうずきを買い求める客も、いきな和服姿だ。やはり、浅草だと思わせる。


 売り子は熱心にほうずき鉢の育て方を説明する。半分冷やかしの客も、ついつい財布のひもを緩めてしまう。

 年齢に関係なく、女性には弱いようだ。

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