ゆりカモメの大群が浜名湖で乱舞=カメラマンは歓喜
ローカル線の旅は、事前情報などない方がよいに決まっている。現地の人に見どころを聞けば、大半がお寺が多い。あるいはそば処などだ。つまらないな。
「他には?」
「ゆりかもめの大群が見られますよ。天龍浜名湖線では、そんなものくらいですかね」
地元の女性からの、その一言で、
「ほかに見るところがなければ、そこに行ってみようか。決めた」
※ 写真の上で、左クリックすると、ゆりかもめの豪快な乱舞が『動画で』ごらんになれます。
東京・新橋駅から都営「ゆりかごめ」が出ている。
そんなイメージで、わずかな飛来だと思っていたら、まさにすごい大群だ。
天浜線「浜名湖佐久米駅」で、地元の寿司屋の笹田順嗣さんが17年間にわたり、パン屑で餌づけしてきた。
午前中の1回(上り下りの電車を被写体にしてくれる)。
午後も同様に1回だ。
つまり、1日4回は電車を被写体にできる。そんな配慮をしている。
ゆりかもめはシベリアで産卵して、そして日本にやってくる。
毎年、最初の飛来は10/27-8日ころで、15羽ていど浜名湖にやってくる。
そして、30羽になり、さらに50羽になり、毎日増えていく。
子ども羽根は茶色く、線が入っている。
ゆりかごめの寿命は9年くらいで、年老いてくると、足の色が赤黒くなってくる。
餌づけをはじめてから、11年目、さかのぼること6年まえから、警戒心がなくなり、頭に止まるようになった。
きっと、全国でも、ゆりかご目が人間の頭の上に止まるのは、ここだけだろう、と笹田さんは話す。
糞もよく落すから、一張羅(いっちょうらい)は着ていかない方が良い。
ゆりかご目の性格はきつい。真近くまでも襲いかかるように飛来してくる。
何事にも負けていない飛来だ
子どものゆりかごめは、3月にはシベリヤに帰っていく。その頃は頭が黒くなっている。
4/10になれば、いなくなる。
冬場に、これだけの大群がホームにくるかとなると、日々によって違うらしい。浜名湖で餌が豊富に捕れるときは、ゆりかもめの数は少ないらしい。
「きょうはすごいよ」というから、湖面の餌はなかったらしい。
運転手は立ち上がり、慎重に運転する。決して、警笛で追い払うことはしない。
ゆりかもめとの間で、呼吸ができているようだ。
名残惜しいが、1時間に一本の電車では、去らなければならない。
景勝地で、もういちど来てみたいと思ったのは、久しぶりだ。そのくらい感動した。