A025-カメラマン

抱腹絶倒で楽しめる、長唄「棒しばり」の高度な妙技(下)=帆之亟の会より

 狂言の代表的な「棒しばり」は、歌舞伎や舞踊でも演じられる。とても愉快なをパロディである。

YouTube:動画で楽しく見られます


 
 大名は菊月喜千壽が演じる


 大名が外出するたびに、太郎冠者・次郎冠者の二人の召使いは酒蔵へ忍び込んで、盗み酒をする。

「なにか妙案はないか」

 外出前に、大名はあれこれ思案する。


 次郎冠者は帆之亟である。


 城内の一角で、次郎冠者はが棒の手(護身術)を披露していた。

「拙者の腕は、藩内随一じゃろう」

 得意になっている、棒の術を見せびらかせている。たしかに、その腕はずば抜けている。


 


 大名は外出前に、太郎冠者と次郎冠者をよびつけて括(くく)りつけてしまう。

「これで、余の眼を盗んで、よもや酒は飲めまい」

 


「いかにして飲めるか」

 創意工夫で、何としてでも飲みたい。

 悪知恵がはたらく2人である。

 甕(かめ)のなかの酒を器用に掬(すく)っている。

 

 太郎冠者 千川貴楽

 ふたりの協同で、甕の酒がたっぷり飲めた。

「よったぞ。酔った。心地良いものじゃ」



「盗み酒は旨いな。ここはひとつ踊ろうか」

 棒にしばられた窮屈な姿で、器用に踊りまわる。


 観劇する外国人にも、ことばはわからずとも楽しめる、人気の演目だ。


 たとえ縛られていようが、酔った勢いで大名にもからむ。

 もう、怖いものなしだ。

「おい。大名、もっと酒を持ってこい」

 あとがどうなることやら。
  
 

【帆之亟の会】より  2015年3月5日(木) 日本橋劇場にて

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