春の風物詩・潮干狩りは大人気=千葉・船橋海浜公園
ゴールデンウィークの潮干狩りは、おおかた大混雑だろう。そう予測しながらも、あえて5月4日に都心から一番近い潮干狩り場で有名な、『ふなばし三番瀬海浜公園』に出かけてみた。
東京駅からは京葉線で30分ていどで、二俣新町駅(市川市)に着く。駅前のバス停はやや遠いが、そこから京成バスで約12分だ。この間、両側には自家用車がずらり駐車していた。
それだけでも、潮干狩り場の混雑ぶりが想像できた
潮干狩り場(船橋市)は、砂地の面よりも、人間のほうが多く見えてしまう。
予想はしてきたけれど、あまりにも人間が大勢すぎる。
どこに視点を合わせて、写真を撮ったらよいのか、それすらわからないほどだ。
まあ、1-3枚くらい撮っておくか。
最近はピーチパラソルが殆どなくなり、大半がテントだった。世のなかは変わったね。
海岸線はどこにあるのだろう。
そこを確認すれば、砂浜は「潮干狩りの」群集だ。圧倒されてしまう。
5月の海辺を楽しむ、そんな雰囲気をはるかに超している。
背伸びをしても水打ち際はわからないが、ともかく海は見えた。
手前にはピーチパラソルがあったので、大きく取り込んでみた。
ここは砂地というよりも、粘土質の泥に近い。
歩いても、硬い。
まさか、東京湾を埋め立てた残土ではないだろうな。そんな疑問もわいた。
親子連れが小さな空間で、手狭なスペースで、鍬を持ってかたい泥を掘りだす。
やがて、親の方が夢中になっていく。
「あっちがたくさん掘れるよ」
「こっちだよ、ぜったいアサリが多いから」
兄弟が言い争っていた。
実際に、どこが多いのか、掘ってみないと判定ができない。
兄弟っていいな。
見渡すと、一人っ子がずいぶん多い。きょうだい喧嘩が好き勝手にできるほど、たくさん産んでほしいね、世のお母さんたち。
一人っ子の親は、手を添え、あれよこれよ、と掘り方を説明する。そのうえ写真を撮り、ビデオをまわす。
ともかく、過保護のオンパレードの光景だった。
つい最近も、深夜に震度5弱の地震がきた。東日本大震災3.11以来の大きさだと気象庁は発表した。
もし、もうすこし震源地が浅ければ、揺れが強く、震度6は間違いなし。
この昼間ならば、津波は20分以内に、この潮干狩りの場に押し寄せる。
避難場所の看板をじっくり読むと、避難先の収容人数がわずか1250人だった。実に微細な文字で小さく、小さく人数が明記されていた。
それも徒歩で15-20分の距離だ。
大地震・大津波が来たら、この潮干狩り会場だけでも、3万人以上は死ぬだろうな。
関東大震災って、いつ来てもおかしくない周期になっている。それには頬被(ほほかぶ)りして、
「予期せぬ、想像を超える津波だった」と文字を小さく書いた当局は、そのように責任逃れするのだろうな。
だって、行政がやることだもの。
いまどき、ホテル・旅館だって避難経路の説明をするのに、迷子の呼び出しばかりで、こんなに大勢いて一度も防災に関する放送はなかった。
そんなことすれば、潮干狩りに来る人が減る、収入の低下だと案じているのなら、危機管理不足だ。
3.11の教訓はまったく生きていないな。
「僕どのくらい採れたの」
「見せてあげる」
「ずいぶんとれたね。アサリの味噌汁かな」
「さあ?」
料理まで関与しないない顔だった。
僕はアサリを採らずに、すねているのかな。こんなところで、砂遊びなんて。
親から、なにか小言を食らったのかな。
きみは間違いなく、一人っ子じゃないね。他の兄弟と、差をつけられたのだろうな。
それにしても、四六時中、迷子の放送ばかりで、うるさいな。
親が貝掘りに夢中になりすぎて、子どもから目が離れてしまうからだ。
ふいに気づいて、あたふたするのだ。
この少女は、やる気十分だ。
まずは大胆で、豪快だ。
採れるアサリはわずかだけれど。
このおじさん、海でバッタ採りかな。
網をあっちに、こっちに、獲物を追いかけまわす。
稚魚をすくうなら、下からそっと持ち上げればよい。
やはり、バッタだよな。
よく見ると、その後ろでは、姐さんが転倒する寸前だった。
ここらもカメラに収めたかったな。
アサリだけでなく、蛤もとれる。
大物だ、と喜ぶ少年。
悦に入っていいんだよ、蛤なんて、そうとれるものじゃないし。
頑張ったね。
真上から、初夏の太陽が容赦なく照りつける。
海からの潮風が吹いても、やはり暑そうだ。
母娘が努力した割には、まだアサリが少ないね。
帰りにお魚屋さんで、アサリを買わずに済むように、
もう一度チャレンジしたほうがいいよ。
バケツは300円、熊手は2種類で、200円と350円だ。
元が取れるかな。
いいんだ、潮干狩りが楽しめれば。
そう言いながらも、掘りはじめると、むきになるのが人間の常だけれど。
こちらは網で魚を狙う。
だれもがアサリに集中するから、穴場かもしれない。
でも、魚も利口だから、上手に逃げるだろう。
ついに、本職が登場してきた。
アサリを魚市場から各家庭へ送る。
その強い使命感で、ドンドン掘りだす。
あ然と見ている人もいる。
潮干狩りの人酔ってしまうと、
遠くでゆっくり航行する貨物船が、妙に心に落ち着きを与えてくれる。
おなじ貝掘りの光景ばかりで飽きてしまい、堤防の上で昼寝をしていたら、日焼けしてしまった。
顔に帽子をかぶせていたけれど……。
入場券だけではないよ。
最後の関門。とったアサリは100g60円だよ。
1kg600円と表示しないところが憎いね。
たった、100gで帰る人など、見ているかぎり、一人もいなかった。
入場料を入れると、1000円は超えるね。漁業権が高いんだよ。
スーパーマーケットでアサリ1000円も買う人などいないものね。
家に帰って、それに気づくのかな。
むかしは海でみな自由に魚介類が採れた。いまは盗られたともいう。