喜劇『お菊皿騒動』 S-NTK旗揚げ公演 = 写真で愉しむ
喜劇だから、楽しいに決まっている。そうは言っても、役者の演じ方によって、味わいは違う。撮影していても、楽しかった。なにしろ、男優がお菊(女)であり、女優が旦那衆(男)だから。
S-NTK旗揚げ公演の『お菊皿騒動』(落語「お菊の皿」より)
日大芸術学部・演劇学科OBの帆之亟(はんのじょう)さんは、大きな舞台歴、TV歴が数多くある。
名優がお菊を演じていく。
しばし、女優だと信じて疑わなかった。
芸名から男女の区別がつかなかったので……。
若旦那のひとりは舞台女優「まるのめぐみ」さんで、恰幅の良い、ちょっと落ち着いた商人かな。
幽霊の話を聞かせている。
臆病な若旦那は舞台女優「雨川景子」さん、たっぷり笑わせてくれる。
顔の表情が豊かで、とても芸達者だ。
登場する、貫録のある若旦那は、元宝塚歌劇団月組「五月梨世」さん。
男役の名優だけに、会場は一段と盛り上がる。
怪談「番町皿屋敷」の後日談として、面白くつくられたのが落語「お菊の皿」である。
肝が座った若旦那が、まずは幽霊・お菊と対面だ。
臆病者の若旦那を誘い込む。
とにかく皿屋敷など行きたくない。
「後生だ、誘わないでくれ」と全身でおびえている。
喜劇として、一段と盛り上げている。
幽霊物語だから、ライトの技術はとても重要だ。
写真撮影する側はフラッシュをたかずだから、舞台の採光を見ながら、露出、ホワイトバランス、シャッター・速度と、その都度、切り替えていく。
昼の部、夜の部、と撮影の機会が与えられた。一瞬にして駆け抜ける子役「小林民人」君が出てくるので、「先読み」ができた。
お化けが怖い、怖い、とおびえていると、子どもまでも恐怖の目で見てしまう。
若旦那が3人して、番町皿屋敷に乗り込む。6枚目の皿までは想定内。しかし、7枚目となると、腰を抜かしてしまう。
腰が抜けると、逃げたくても、思うように逃げられない。
後日、作戦を変えて、皿屋敷で、美人のお菊と宴席を持つ。
それに井戸から出てきたお菊が乗ってくる(悪乗り?)
「さあ、呑んで」と酒を勧める若旦那たち。
お菊が男優だから、なおさら愉快になってくる。
酒に酔ったお菊が、蝶々を相手に踊りだす。
絶世の美人幽霊だけに、舞台は華やかになる。
若旦那も、いい気分で踊りだす。
今宵は呑めや踊れやで、踊りつくす。ところが……、
お菊が酔った勢いで、2日分、18枚の皿を数える。ここは落語のオチだ。
奇想天外な幽霊からして、若旦那たちはまたしても腰を抜かす。
絶世の美女が若旦那の口から、かわら版屋に伝わる。
やがて美女の幽霊・お菊は江戸じゅうの人気者になった。
第一部が終わったところで、『東日本大震災のチャリティーイベント』として、かわら版屋が会場でジュースを100円で売り、それを被災地に寄付する。
撮影:2014年1月25日、大井町きゅりあん小ホール