カメラマンたちと、ゆりの花と、一瞬の情景=ところざわの「ゆり園」
埼玉・所沢市の西武球場前駅から徒歩3分のところに、ところざわの「ゆり園」がある。50種45万本のゆりが丘陵に咲く。
「ゆり」の花を狙う、大勢のカメラマンが押しかけている。
ゆりの花だけを撮影しても、私には使い勝手がない。そこで、「カメラマン」にテーマを絞って園内を歩いてみた。
カメラを構えて被写体に向かうと、気持ちが集中する。人間は真剣なまなざしの時が最も輝くものだ。
カメラマンも一眼レフを持つと、スタイルや恰好にこだわりだす。ある意味で、フィッシング(魚釣り)と似ている。
写真は構図が最も重要だ。デジカメでも十二分に威力を発揮する。
私は量販店で「雨の日セール」で購入した9800円のデジカメで、ある大きな写真展に入賞した。そして、作品が東京駅に数日間、展示された。
それを話すと驚かれるが、現在のデジカメの機能は素晴らしいものがある。
どのゆりを狙うのかな。カメラマンの横顔を見ていると、真剣そのもの。気迫を感じる。
木の陰でこっそり撮る方もいるけれど……。
ソバとうどんと、そしてゆりの花。写真はアイデア勝負のところもある。
木の梢の小鳥でも気になるのかな? 1000円の入園料を出して、バードウォッチとは思えないけれど……。
カメラを構える人は、真剣に花を見つめて被写体をセレクトしている。散策する人は丘陵を半周すれば、ゆりよりもおしゃべりの方に気持ちが向いている。
6月初旬から7月中旬まで、ゆりの盛りの花が微妙に違ってくる。
カメラマンが構えた先には、いまが最も盛りのゆりがある。
カメラ機材は凝りだすと、だんだん重装備になる。汗をぬぐいながら、大変な思いをする。のども乾くから飲料も持参すれば、その分、また重くなる。
日陰で、ゆりを狙うカメラマンもいる。
奥さんはカメラマン。夫はペットボトルの飲料を持った付き添い人なのかな。
「もう、うんざり」と夫のカメラにそっぽを向けてしまう。
日傘をもって、さしてあげる。友愛の情景もある。
「あんた、まだ撮るの?」姉妹なのか。撮影しない人にとっては、やたら間延びの時間かもしれない。
「うまく撮ってくれた?」と妻にチェックされる。
「きれいに撮ってね。ゆりに負けないように」と言われたのかな。随所で、真剣に撮り続けていた。