初夏の三崎港、城ケ島を訪ねる(1)=写真散策シリーズ
宮城県・気仙沼市に取材で出かけると、マグロ漁船の話題に及び、たびたび静岡県・焼津港、神奈川県・三崎の漁業基地が引き合いに出される。
そこで、三崎港を訪ねてみた。
三崎港の対岸は有名な城ケ島である。渡船が出ている。
港は整備されており、観光客にも対応できる、案内所の施設がある。
「マグロ丼を食べたいのですが……」
リーズナブルな価格の店が紹介してもらえる。
街を歩くと、港町特有の雰囲気と、魚臭いと海の匂いが鼻孔をつく。
被災地・気仙沼をつぶさに取材しているだけに、東海沖大地震による大津波が来れば、この三崎港も海岸線はかなり被害を受けるのだろうな、そんな目で見てしまう。
神奈川県・三崎港はマグロの水揚げが、全国でもトップクラスである。
マグロ料理の店が、魚市場周辺に数多く軒を並べている。
船のキャビンで、船員が日向ぼっこをしている。夏を感じさせられた。
大型マグロ漁船のみならず、近海漁業の漁船がひっきりなしに入航してくる。
もし大津波に襲われたら、どんな避難を考えているのだろう。3.11の被害地と重ねあわせると、なにかしら無防備な感じがしてしまう。
地形的に城ケ島が防波堤の役目を果たすのだろうか。気仙沼大島がそうだったように……。
三崎港から城ケ島大橋を渡る。途中まで金網メッシュだから、撮影はほんのわずかな隙間から狙うことになる。
橋の下には観光船が行きかう。
城ケ島大橋の中央に近づくと、メッシュがなくなり、眼下が見渡せる。
三崎港の埠頭には釣り人たちの姿が大勢みられる。
この水道では、いまの季節は「シロギス」が釣れるようだ。
橋の上から、城ケ島の海岸をのぞき見る。海底が浮き上がってくる。
なにかしら奄美諸島や沖縄の海を連想してしまう。
城ケ島に渡ると、子どもたちを連れた家族が、白秋の碑の側で、楽しそうなひと時を過ごしていた。
展望台から、奇岩の多い海岸へと散策路がある。
標高差がさほどないので、手軽に波打ち際まで歩み寄れる。
海辺には風がないけれど、荒波がはるか彼方から押し寄せ、磯でくり返し打ち砕ける。
飛沫(しぶき)が飛び散る。
潮騒がからだ全体にひびく。