道草を食う 須藤裕子
「まえがき」
「バス社会実験:綾02」路線が葛飾区役所と京成バス・タウンバスで協議され、平成29年10月23日(月)から平成30年3月31日(土)まで、実施中だ。
バスの新路線協議は平成26年から行われており、新しく開設されたり、開設には到らなくてもバス停を増やすという結果が出ている。
今回、「綾02」路線は1日・27便、新しいバス停を3か所増やし、平日・土休日も走っている。
果たして新路線になるのか、実験で終わってしまうのか……。
筆者は1月31日(水)を皮切りに、区役所と綾瀬駅を18分で走る「綾02」に何度か取材で乗車してみた。
「お花茶屋駅」バス停前には、平成15年6月に開設した「お花茶屋南自転車駐車場」がある。
駅周辺の放置自転車対策で設置され、朝6時から夜10時まで、係員が交代で常駐し、663㎡に400台収容できる。
1か月1500円、3か月3700円、1時預かりだと100円で置くことができ、設備もよく、便利この上ない。
線路を渡った曳舟川親水公園には、平成15年4月に開設された「地下自転車駐車場」があり、1600台収容できる。
お花茶屋駅の線路沿いには、さらにもう1か所「西自転車駐車場」もある。整備された自転車駐車場は町のいい景観になり、安心感も生む。
「共栄学園」前には、創立80年となる「共栄学園中学高等学校」がある。
同校のホームページには、『1933年、本田立石に和裁塾を作ったのが始まりで、1938年、本田裁縫女子学校の設立が創立になり、戦後、共栄高等女学校と改組し、2003年、高等学校男女共学化』と紹介されていた。
同校の校舎には、創立80年を謳う垂れ幕「至誠一貫」とともに、垣根の「サザンカ」が華やかだ。
「堀切5丁目」からはスカイツリーが望める。
スカイツリーの建築はどんなに小さくても、富士山を見つけたような気分になる。なぜだろう?
新設の「小菅交番前」で降り、長いスロープを登って辿り着いたのが「小菅東スポーツ公園」。
下水道施設の上部に設置されている373万5097㎡で、テニスコートも備え、堀切水辺公園より広い。
ここを通って行くだけで運動効果十分だ。
昼前、公園で遊び終えた親子が家路の途中で、坂を下っていた。
「元気に歩いていますね」
と、話しかけると、
「行きはいいのに、帰りは抱っこになっちゃうんですよ」
と、母親が微笑んでいた。
「日本庭園」には東屋・石灯籠・池があり、広々とした景色の中で、冬の日射しを浴びながら男性たちが話し込んでいた。
高いビルの隙間から見る空とは逆、広く澄んだ青空が広がり、ゆったり感がある。和の空間、やっぱり悪くない。
首都高速道路の高架下を通り、綾瀬川を渡ると、「小菅西公園」がある。
ちょうど、「梅」や「紅梅」、「蝋梅」が咲き出していて、漂う香りに、微かな春の訪れがあった。
「桜」が咲く頃には、一層賑やかな景色になるだろう。植栽が豊かだから。
「小菅交番前」の先にある「古隅田川」という水路が、親水緑道になっていた。
江戸時代以降、「古隅田川」は武蔵国と下総国を分ける国境の川だった綾瀬川が開削されてから流れが細くなり、河川としての役割はなくなり、暗渠や道路になった。
春には「桜」が咲き、水辺には植物や生き物がいる。
帰路、JR綾瀬駅:15時55分発のバスは、踏切で4分待ったということで、16時を回って出発した。
乗客には、自宅の近くを通るので乗った人、綾瀬駅行きなのでと乗った学生やサラリーマンがいた。
都心から葛飾区に転勤して来たサラリーマンは「今までは、亀有駅に出てから電車で綾瀬駅に行っていたが、これだと直接綾瀬駅に行けて便利です」。
さらに、
「葛飾は人情味がありますね」ともつけ加えていた。
夕方には綾瀬駅に向かう区役所職員が多く利用しているとか。
あとがき
実験走行中のバスに乗り、途中下車して歩いた。日常生活に、少し「朱を入れた」気分になった。
撮影・文書・編集:須藤裕子
撮影:平成29年(2017年)12月~平成30年(2018年)3月
発行:かつしかPP(Pen&Photo)クラブ
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