A045-かつしかPPクラブ

伝統工芸・第31回葛飾区産業フェア = 浦沢 誠 


  「葛飾区伝統産業職人会」 2階の会場入り口のデザイン展示です。

 立石にある同会館の改修に伴う、リニューアルオープンは12月10日です。


『まえがき』

  今回は「たましい」というテーマなので、テクノプラザかつしかで開催されていた第31回葛飾区産業フェアのうち、「農業・伝統産業展」を取材した。

  取材内容は主に、伝統産業の物づくりの技を引き継ぎ、過去から現在および未来にむけて取り組んで行く精神(たましい)について取材をした。


  2015年(平成27年)10月25日(日)快晴で迎えた同左の最終日、会場の人出は昨年の東京理科大学金町新校舎の12万人に次ぐ平年並みの7~8万人との区職員の話。


 葛飾区伝統産業職人会 会長 福島政山さん


  会場の2階では、「同職人会」による32ブースでの実演・販売が行われていた。

  この会場での展示作品は、江戸時代から日常生活に必要なものを造ってきたものがほとんどで
す。
 この「江戸木彫刻」は、江戸時代には宮大工が行っていた、と語る西新小岩5丁目在住の福島 政(まさる)(78歳)さんです。
  この仕事を始めて今年で60年目。東京オリンピックの年までは頑張って現役でいたい。

やりがいは、お客様から喜ばれることが一番です、と熱く語った。
 


  銅版仏画の柳 富治さん


 葛飾区四ツ木在住、職人会副会長の柳さん(77歳)は、15歳の時からからセルロイド会社に住み込みで15年間修業し、30歳から独立し、一代で現在まで約30年間この道一筋にやって来た。

  2年前には「現代の名工」を頂いた。また、腐食彫刻の賞を世界でただ一人、フランスのルーブル美術館から頂いた。さらに厚生労働省からも賞を頂きました。

  是非、本物を見て下さいと語る柳さん

 以前に清龍山薬王院 浄光寺 木根川薬師(きねがわやくし)から開山1150年記念法要の目玉として1.5m角の銅版仏画を依頼された。

  5年がかりで制作・奉納しました。毎年4月のお釈迦様の日だけ御開帳しています。


 清龍山浄光寺は天台宗に属しています。 また、日本にある曼荼羅で最も古いのものは、天台宗の京都にある「三十三間堂」にあります。


  江戸型彫の矢田幸蔵さん

 右端の半纏(はんてん)を着ているのが矢田さん


  職人会副会長の矢田さん(60歳)は、 新小岩在住です。

 3代目で、40代の頃から始めて20年目、初代から数えるとこの家業は今年で100年目となります。


  先代は昭和4年生まれの86歳です。

  型紙の材料は、柿渋を染み込ませた和紙を3枚重ね合わせたものです。それを小刀で切り込みを入れて型紙を創ります。

 人間国宝の「江戸小紋の小宮康孝(やすたか)」さんの着物や日本橋に株式会社「竺仙(ちくせん)」の5代目の注文も受けています。 

  印傳(いんでん)の矢部恵延さん


 お客の対応をしている矢部さん


  職人会の副会長の矢部祐介さん(72歳)は、2代目で、葛飾区で40年やっている。

印傳とは、鹿のなめし革に型紙の上から漆(うるし)を塗り付けたもので、使い込むほど肌触りや、しなやかさが出る。

この道に入ったきっかけは、1代目について見ている中で、品物の変化を考え、工夫して造ってみた、そこからです。

  楽しいことは、印傳の色を自分の思い通りに出せることが出来たことです。またお客様には、手造りの良さ見て頂き、長く使ってもらいたい、と語っていた。
 




江戸型彫矢田さんの作品「向い鶴」


『あとがき』

物づくりの技と精神を、この伝統産業職人会の4人の方に、その人と作品について取材した。

 作品そのものは江戸時代から今日まで受け継いで来たのものもあれば、自分一代で伝統の品をアレンジして築いたものもあった。 

 片や親方や親や先輩などから受け継いだ技が、本人のたゆみない努力と汗の結晶により、現代の社会の中で生き続けている。

  今後、これらの素晴らしい伝統文化の継承が、いつまでも続くことに期待したい。


  
 

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