地域安全の窓口=鈴木ゆかり
金町消防署の庁舎の窓が、目を引くデザインだったので興味を持ち取材を申し込んだ。
平成27年7月21日(火)。この日は、葛飾納涼花火大会の日で、多くの署員が花火大会に向かう忙しい日だったが、特別にお話を伺う事ができた。
取材に応じてくれたのは、金町消防署 予防課の肥(ひ)塚(づか)真理子消防士長と小島由美子さん。
金町消防署の歴史・活動、新庁舎のデザインコンセプトなどのお話が伺えた。
新庁舎は、約3年の工事を経て平成25年3月15日に開署した7階建の素敵な建物だ。新庁舎をデザインしたのは、協立建築設計事務所の鈴木俊作氏。
先の写真の青い窓は、江戸時代、火消しに使われたまといの形をモチーフに考えられた。内部は職員の待機宿舎などに使われている。
大きな窓が飛び出ている部分は、食堂である。
庁舎内は明るく、シンプルな感じがしたが、都民相談室や防災教室などのスペースがあり、地域の相談窓口など多くの機能を持った消防署である。
金町消防署の歴史は、昭和9年4月に金町機関員派出所が設置され、当時はポンプ車1台、機関員2名だけだった。
現在の庁舎の前身は、昭和44年4月から41年間にわたり使用されてきた。
平成25年2月に現在の新庁舎が完成し、消防車5台、救急車1台が配備されている。222名の隊員の方がいて、昼夜を問わず区民や近隣地域のために働いてくれている。
「夏は、熱中症などの対応で救急車の出動が多い。地域連携の制度はあるが、台数には限界があるので、もし救急車を呼んだほうがよいのかと迷ったら、救急相談センター(#7119)へ問い合わせて欲しい。」
話を聞いて救急処置が必要な場合は、相談センターから救急車を手配してくれる。
写真右の冊子「救急受診ガイド」は、年に数回ある消防イベントや学校、幼稚園などで配布されている。消防署でも手に入れる事ができる。
ガイドは、チャート式で、症状ごとの対処法が書かれている。日頃から手元に置いて、読んでおくと、いざという時の心強い味方になってくれると思った。
金町消防署のイベント情報などは、消防署のHPに掲載される。
HPも沢山の窓で構成されていて興味深い。
館内の様子(写真上)。階段の踊り場には、ポールがあるが、滑り降りる事は出来ない。
以前は、消防署といえば、このポールが象徴的だったが、現在は危険なため使われていない。
また、この階段は、江戸火消しのはしごをモチーフにデザインされている。江戸の面影を残す洗練されたデザインだ。
消防署の出っ張り部分と前にあるトヨタ自動車の流線部分が中川の形を表現していると教えて頂いた。
双方の間を通る水戸街道が中川の流れになる。何とも葛飾らしい発想だと思った。
写真左は、金町消防署の守り神?“だるまもるん”。地域の方から寄贈され、公募で名前がつけられた。消防署の外に堂々と鎮座している。
記者は、日頃の疑問をお二人に聞いてみた。火事でもなさそうなのに、なぜか消防車が来ている。
そんな場面に遭遇する。もしかしたら、消防車に急患を搬送できる設備があるのかと、ずっと疑問に思っていた。
「消防車に急患を運べる設備はありませんが、隊員は全員救急救命の資格を持っているので、応急処置が必要な場合の対応が出来ます。救急車が到着するまでの応急処置で先行しているのです。」
と教えてくれた。
さらに「今まで亀有消防署には救急車が配備されていませんでした。今年10月1日からは、亀有消防署にも最新鋭の救急車が配備され、隊員も高度な資格を持った隊員が配属になります。」
と最新情報も教えてくれた。なんとも頼もしいかぎりである。
平成27年8月 鈴木ゆかり