わがまち・かつしか・窓編「のぞいてみる?」=宮田栄子
吾輩は猫である。
吾輩は、お育ちがいいから外になんぞには、出ない。
日がな一日、こうして窓辺に座る。
四季の移ろい、雨やはれ、そして何より、道を歩く人間、犬、猫、飛んでいく小鳥。見ていて飽きさせない。
こら、いつも、写真を撮っていく、そこのおばさま。手招きして吾輩を外の世界に誘惑しないで。
この窓は、吾輩のお気に入りの指定席。(東水元)
・雫も窓にし 雫の中に
マクロレンズをつけたカメラで覗くと、雫の中にまるで閉じ込められたように、淡い黄色のグミの花が幻想的に写りこんでいた。
雫にも、窓がある(立石)
・木枠の景色
木の幹が交差して、変形の窓枠ができていた。見慣れた公園の景色も、雰囲気が変わってくる。
夏の盛りの、蝉のぬけがらは、風通し良く涼しそうだ。(水元公園)
・小さな世界
最近に建てられた住宅は、あまり開放的でなく、小さい窓だけの家が多くみられる。外見からも、息苦しく感じないかと思ってしまうほどだ。
だが、写真の窓は見ていて何故か楽しい。一面に並んだ10の窓は、室内から眺める人には、10の小さな世界を、見せてくれるにちがいない。(東水元)
・巣立つまで
東立石にある渋江公園の近くに、楽しい光景を見つけた。
住宅の二階にある戸袋から、鳥が飛びだしたのだ。ムクドリのようだ。不思議に思い下から観察していると、すぐに戻ってきた。すると、戸袋の隙間から2羽のヒナが顔を出し、大きな口を開けて鳴き出した。
戸袋はムクドリの巣になっていた。親鳥はせっせとエサを運ぶ。
その後も、通りかかると眺めていたが、10日ほど経つと巣立ったのか、ムクドリの気配がなくなった。
その間、雨戸は半分出た状態のままだったが、ヒナの巣立ち後、ようやく戸袋におさまった。
やさしい住人だなと感心していると、しばらくして、雨戸の隙間に木片が打ちつけられていた。(申し訳なさそうに)
仕方がない。鳥の窓をふさがないと、住人の窓が開けられないのだから。(東立石)