「雄渾(ゆうこん)」の像のもとで(上)=宮田栄子
総合スポーツセンターの、敷地内の立像に惹かれた。
はるか彼方を見据え、槍をかまえているが、力が入りすぎてなく、のびのびしていて、見ていても気持ちがいい。
「雄渾」と名がついていた。辞書を引いてみると、「力強くて勢いのよいこと」とある。「力・パワー」にぴったりだ。
2014年5月18日、P・Pクラブは、総合スポーツセンターの取材を行った。副センター長の山本和弘さんから、くわしく説明を受ける。
「この施設は昭和58年の設立以降、私ども(住友不動産エスフォルタ・東洋管材共同事業体)が葛飾区より指定管理者として要請され代行しています。
年間約45万人(体育の日は万単位)の利用者があり、昼間は主に主婦、夕方からは勤め人の方が多いです。毎月第4水曜日が休館になります。
従業員は約40人で2~3交替。受付、運営(駐車場)、トレーニングルーム、設備、警備、清掃などで、それぞれ力を発揮しています。
体育館は、トレーニングルーム、大小体育室、武道場、
(今日は第67回春季剣道大会が開催中で、3歳から大人まで約500余名が参加)
他に弓道場、アーチェリー場、エアライフル場(これらは、安全管理がしっかりなされ、認定証を取得した人だけが入ることができます)
その他、会議室もあります。
[中川土手沿いに建つ体育館]
熱心に語る 副センター長 山本和弘さん
陸上競技場はオールウェザートラック(全天候型)で1周400m、雨を好んで走りに来る人もいます。
メインスタンドは1000人収容することができます。
弓道場では、葛飾総合高校の弓道部の皆さんが練習に励んでいた。静かな中で、弓を構えると空気がピーンと張りつめる。
開校以来8年間にわたり、弓道部の指導をしている那賀俊明先生(52歳)にお話を伺った。
「1年生17名、2年は5名、3年は3名います。学校では練習場が無いので薪藁(まきわら)が的になります。火曜、金曜の3時半から弓道部はここでみっちり練習をします。
今年の5月3日、明治神宮の奉納試合では、160名中、我が高の2名がベスト10に入りました」
弓道で1番大切なことはなんですかとの質問をむけると、きっぱりと
「平常心です」
との言葉がかえってきた。
心地よい緊張感が張りつめる。指導しているのは、那賀先生の奥様。8年前から弓道を始め、今では、補助で指導するまでになった。
那賀先生より、弓矢を語源とする言葉を教えていただいた。
「本末転倒」……弓の両端にある弦をかける部、上が末筈(うらはず)
下が本筈(もとはず)、これを逆さにしてしまうこと。
「物事の大事なことと、どうでもよいことがあべこべになること」
「そんな筈は…」……矢筈(矢の元についている弦と矢をつける部)
矢の筈と弦とが合うことから(当然のこと)
「当然のことがそうならない時」
「手の内を見せない」……弓を持つ手の内側を見せないことから
「力の範囲を教えないこと」
面白くなり、記者も思いつくまま言葉をあげてみると、
矢切(地名)、矢張り、矢先、矢面、矢継ぎ早、一矢報いる、光陰矢の如し、矢も盾もたまらず、と止まらなくなりそうだ。
ちなみに「帝釈天」とはヒンドゥ教の「虹の弓矢を持つ神・インドゥ」、のこと。もう1つちなみに、虹とは、rain(雨)bow(弓)。止まらない……。