冬の華:山茶花(さざんか) = 須藤裕子
冬に「美」といわれれば、花を連想することはないと思った。が、あった。それは赤い「サザンカ」だ。
冬枯れの色のない景色の中で、緑の葉と赤い花が目立つ。まるで、「冬は、私が主役!」と、言わんばかりだ。
近所には、垣根の「サザンカ」や、1本起ちを見かける。冬、外の風は冷たいが、一緒に、赤い「サザンカ」を愛でてみませんか。
「サザンカ」は沖縄や四国、九州などの南方に白色で咲き、自生していたのが始まりだ。
今では、「冬の華」として日本各地に広がり、その数は、約300にものぼる。
園芸の「華」でもある。
「サザンカ」談義。毎日、ラジオ体操に通う「田島勇二」さん(69歳)は、「サザンカ」の垣根の道を通る。
「サザンカ」の赤い花は目に留まり、花の先(咲き)が気になる。朝の挨拶にも、花が咲く。
白い「サザンカ」が、
冬の青空に生える。
垣根の役目を果たすサザンカ。しっかり家人を見守っている。
しかし、むかし武家屋敷では、「サザンカや椿は首が落ちる」といい、生け垣には使わなかった。
現代でも、病気見舞いには「首が落ちる」から、と喜ばれない。
それは、「ライオン交通株式会社」で咲く、1本の「サザンカ」。
冬の太陽は陽射しが弱い。わずかな光がサザンカの垣根を温めてくれる。
「 どうも、お邪魔して、すみません 」
ひときわ花弁の数が多く、色鮮やかな「サザンカ」
この「サザンカ」と付き合って、3年になる、と語る「武井正」(67歳)さん。
「サザンカは、風通しを良くしてあげないといけないんだよ」と、木を揺すって、枯れた花弁を落としていた。
有機肥料の栄養分を与える。まるで、イクメン中の「まなざし」と「気遣い」。
ヒトも、植物もよく育つには、共通点がある。
小さな鉢に、不釣り合いに大きく育った「サザンカ」。「どうだい!」と、誇らしげだ。
「冬」を愛でると、「パンジー」も彩りよく、賑やかだ。冬の「花」の色には、心が躍る。
撮影:平成26年11月~平成27年1月まで