葛飾区制施行80周年記念式典=斉藤永江
葛飾に力あり 葛飾区制施行80周年記念式典
平成24年10月1日、かつしかシンフォニーヒルズで、葛飾区制施行80周年を祝う記念式典がとり行われた。主催は、葛飾区及び同区議会である。
同区は、昭和7年10月に南葛飾郡の5町2村が東京市に編入され、それらを合併して葛飾区が誕生した。
当時の人口は、約8万5千人で、現在の約44万人に比べると、5分の1からのスタートであった。
2階のギャラリーでは、同区の歴史を振り返るパネル展が開催された。80年前と現在の写真が展示され、訪れた人は、興味深く、見入っていた。
13:30から開始された式典は、国歌、区歌斉唱で始まった。
その後、同区長、青木克徳氏から挨拶があった。「戦中、戦後、復興、バブル崩壊、3・11震災と、数々の試練を乗り越えて、今の葛飾の繁栄があります。スカイツリー効果もあり、人と人とのつながりを大切にする下町が見直され、その評価が高まっています。高齢化問題、子育て、街づくりと、課題はたくさんありますが、今後の更なる発展のために、皆さまのご支援とご協力を賜りたいと思います」と、力強く語った。
次に、同区議会議長、梅沢五十六氏から挨拶があった。「昭和7年、葛飾区制施行の年に、初めての区議会選挙が施行され、36名が第1期議員として当選しました。その後、昭和18年の東京都制施行を経て、昭和22年に、23区は特別区になりました。最大期に52名まで増えた議員数は、定数の見直しにより、平成17年からは、現在の40名になっています。
この間に、数々の重要事項の審議、決定を行ってきました。今後も区民の皆さまとの連携を密にとり、次の世代に受け渡せるように努力していきます」と、力強く語った。
続いて、衆議院議員・平沢勝栄氏、同議員・早川久美子氏、参議院議員・山口なつお氏、同議員・田村智子氏の4名から、来賓の挨拶があった。
式典には、地域活動や産業、健康、福祉、教育、文化・スポーツの発展に貢献した、約270団体の代表者が招かれ、区長から特別表彰を受けた。
シニアピア・傾聴ボランティアの会「きかせて」の、常田恵美子さん(写真右)と、小澤恒美さん。施設や在宅を訪問して、お年寄りの話に耳を傾けている。
「発足は、平成15年10月で、来年で10年目を迎えます。会の中でも、節目の年に何かお祝いしたいねと考えていたところ、このような名誉あるお話をいただいて、大変嬉しく思います。これからも、お年寄りのために、施設や在宅を精力的に回る活動を続けていきたいです」と、笑顔で語った。
小宮康孝氏(染色家)、山田洋次氏(映画監督・脚本家)、福田千恵氏(日本画家)、秋元治氏(漫画家)の4人が、名誉区民として選らばれ、舞台上にて顕彰式が行われた。
山田洋次氏は、「今日は、僕にとって忘れることのできない嬉しい日になりました。生まれも育ちも満州なので、僕にはふるさとがありません。寅さんのふるさとを、どこにしようかと全国を歩いて、帝釈天のある柴又の参道にある家を生家と決めました。1968年のことでした。それから、28年にわたって撮影は続き、葛飾とのご縁も深くなっていきました。これからもお力になれればと思います」と、感慨深げに語った。
秋元治氏は、「山田監督の『男はつらいよ』を見て、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の題名を決めました。『わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です』と聞いたとき、度肝を抜かれるほどの衝撃を受けました。そんなふうに、はっきりと地元名を書けたらいいなと思い、葛飾と亀有を入れることにしました。あれから、36年間続いています。山田監督のお陰です。担当者からは、題名が長すぎて、構成に困ると嫌がられました」と、会場の笑いを誘った。
4氏には、それぞれ、表彰状と名誉区民記章、記念品が贈呈された。
和やかな雰囲気の中、表彰式は終わり、第1部の式典が終了した。
葛飾区吹奏楽団ジュニアバンドのメンバー保護者である、中原さん(写真左)は、「今日は、第2部で子どもたちが、演奏をします。私たちは、裏方として参加しています。小6と小2の子どもは、それぞれ、ホルンとクラリネットを担当しています。現在は、会員が少なく、募集中です。クリスマスコンサートも行いますので、見にきて頂ければ嬉しいです」と、語った。
休憩をはさんで、第2部『映像と歌で振り返る80年のあゆみ』が行われた。
同区の歴史を振り返る映像が上映され、シンフォニーヒルズ少年少女合唱団と葛飾吹奏楽団ジュニアバンドの演奏があり、盛大な拍手の中、式典は終了した。
参列者には、パンフレットの他、寅さん記念館の招待券と、手土産として、両さんどら焼きが、配られた。
【あとがき】
生まれも育ちも葛飾です。生粋の下町っこです。
同区に寄せる愛着は、とても強いものがあります。子どもの頃、森永乳業の牛にびっくりしたこと。水元公園の木に登って遊んだこと。学生時代に、立石の商店街で、甘味を食べに寄り道をして帰ったこと。雪の残る道を、緊張しながら初めての振袖姿で歩き、成人式に向かったこと。それらの懐かしい風景が、よみがえってきました。
下町の人情と、人と人とのつながりの大切さを感じながら、成長してきただけに、80周年式典も、そんな温かみの感じられる会でした。これからも、葛飾の良さを、胸を張って発信していきたいと思います。
記事・写真 斉藤永江