第3回「葛飾区民記者」の養成講座スタート=斉藤永江
作者紹介:斉藤永江さん
栄養士で、製菓衛生士です。チョコレート製作を始め、洋菓子作りと和菓子作りに携わっています。
傾聴ボランティアとして、葛飾区内および在宅のお年寄りを訪問する活動をしています。
2011年度・かつしか区民講座「記者養成講座」を終了し、卒業生たちの自主クラブである「かつしかPPクラブ」に所属し、現在は積極的な活動をしています。
第3回「葛飾区民記者」の養成講座スタート 斉藤永江
平成24年5月18日、かつしか区民大学の「区民記者養成講座」の第3回が、同区ウィメンズパルで開催された。主催は同区教育委員会。講座のサブタイトルは『写真と文章で伝える「私のかつしか」歩く・撮る・書く』である。
講座内容としては、報道写真の撮り方、取材の仕方、記事の書き方(まとめ方)、これらを3つの柱として実践的に学ぶものである。
2012年度は3年目で、例年通り、11月16日までの全8回にわたっておこなわれる。そのうちの2回は課外活動である。
1期生、2期生は全受講を終了した後、自主グループ『かつしかPPクラブ』に参加し、現在では積極的な活動を展開している。(PPとは、ペンとフォトの意味です)
2012年度の受講生は11名である。初日は3人が欠席し、8人でのスタートとなった。開催の冒頭において、同委員会・生涯学習課の佐藤主事から、講座の主旨、目的、スケジュールについての説明があった。そして、講師の穂高健一さんの紹介がなされた。
穂高さんは初回から同講座の講師を担当し、PPクラブにおいても顧問として名を連ねている。作家、ジャーナリスト、カメラマンである。加えて、登山家、ランナーという、多種多様な活動を行っている。同区在住であったことから、講師として迎えられた、という経緯がある。
講師に続いて、受講者の1人1人の自己紹介が行われた。
各人が住んでいる場所や趣味、受講動機、同講座に寄せる期待など、思い思いの発言がなされた。
・写真を勉強したい
・文章が上手になりたい
・記事を書くノウハウを身に付けたい
・ブログなど現在の仕事に生かしたいなど
参加の動機をそれぞれ語った。
受講生の一人、亀有在住の桜井さんは、「何となく申込んだので、そのことすら忘れていました」と屈託なく笑い、周囲の空気を和ませていた。
受講生全員に対して、続いて写真の撮り方についての指導がなされた。
①日の丸写真は撮らない。
②人物を必ず取り込む。
③頭を少しカットしてみる。
④手の表情を大切にする。
それらが大切な撮影技法だと言い、まず講師がやってみせる。それを手本に、受講生にやらせる。だれもが必死にシャッターを押す。
カメラマンでもある講師の熱い指導が、教室全体にみなぎっている。やがて、受講生が撮影した写真がパワーポイントで、スクリーンに映し出される。そのうえで、講師から丁寧な思いやりのある技術指導がなされた。
講座の本題に入ると、講師がみずからペンとメモを持ち、ロールプレーイングで受講生を相手に取材の仕方を実践してみせた。それを手本にして、受講生どうしが取材する側、取材される側に分かれて体験実習した。
穂高さんは受講生の一人から取材メモをふいに回収した。そのうえで、メモ帳に書かれていた「金町」「水元公園」「ミモザ」「フレンチ」「寿司」などの文言を黒板に書き出す。一方で、受講生に口頭で内容の補足を求めながら、黒板でことばとことばを結びつけていく。
やがて、流れの良い文章へと生まれ変わっていく。たちまち1つの取材記事を完成させてみせた。
受講生のみならず、教育委員会の担当者からも、あっと驚き、称賛の声が上がった。それはまさにプロ作家の実力というか、技術、展開力、スピーディーな仕事ぶりを目の当たりにさせられたものだった。
初回の講座から、こうした実践の実習・指導を行ったことは、過去にはないことである。
「今年の受講生の人数は前年度、前々年度に比べて少なかったので、教室に機材があっても、動き回れるスペースが十二分にありました。そこで、受講生どうしが撮影者や被写体で入れ替わったり、インタビューなどの役割をこなしたり、実習(OJT)形式に切り替えました」
同講師は機敏な変化対応をさりげなく語ってくれた。
講座は途中休憩をはさむことなく、熱心な指導が2時間に渡り、続けられた。受講生は毎回、課題の提出が義務づけられている。
初回から、実践さながらの講義を受けた2012年度受講生が今後、どのような取材記事を提出し、報道記者として育っていくのか、その成長ぶりが期待される。
記事:斉藤永江
写真:斉藤永江、佐藤吉裕(パワーポイント風景)