真夜中の12時間リレー体験取材=郡山利行
東京・国立競技場では11年7月29日(金)に、不思議なマラソン大会が開催されました。オールナイトの12時間リレーマラソンです。 種目は2種類で、参加チームのほとんどは12時間リレーでした。(3時間リレー)。
同競技場の400mトラックと、観客席下にある練習用走路を組み合わせた、1周1.4km コースを走るのです。スタートが午後7時から、 ゴール30日(土)午前7時です。
【雨に濡れたトラック】
同日、午後9時頃のトラック第2コーナー付近です。雨に濡れたトラックを走るランナーたちです。
ほとんどが社会人チームです。参加者たちは会社の帰りに競技場に駆けつけてレースに参加していました。参加者の年齢は大半が30~40歳です。
そのうち3割近くが女性でした。シニアのチームはほとんど見られませんでした。
実は、取材する私は妻と参加しました。
客席下の走路状況。各チームの待機スペースが並び、それぞれのチームのリレーゾーンでもあるので、仲間たちが応援していました。
簡単にルールを説明しますと、タイムを競うのではなく、登録メンバーが12時間で、走行距離を競うのです。
たすきには計時チップが取り付けられています。競技場トラックの第1コーナー部に設けられたチェックポイントの通過回数で、順位が決定します。
【待機スペース集団ごろ寝】
私のチームの待機スペース付近の状況です。そこは着替え場所でもあり、飲食・仮眠場所でもありました。
男女を問わず、みんなでごろ寝の仮眠を取り、順番が来たら走り、・・・、一夜を明かした、この不思議な体験はとても新鮮な感覚でした。 大勢の参加者ですが、レース時間内のアルコール禁止は守られていました。
【バックスタンド チームメイト】
バックスタンド前で、第1走者を見守るチームメイトたち。
節電のため、競技場内の照明は使用されず、走路の要所には発電機による局所照明が、主催者により準備されていました。 レースに不都合は生じていませんでした。
【待機スペース】
12時間を通して断続的に強い雨が降り、その時間帯に当たったランナーは全身ぐしょぐしょでしたが、自分もそうであったように、みんなそのことを大笑いして楽しみました。
2010年10月に初めて開催し、2011年4月には春大会を行い、今回の夏大会で3回目です。
単独でも参加できますが、見た目で1チーム1名~12名です。各チーム平均10人としても、参加人数約2000人のランナー達がこのイベントを楽しんだことになります。
7月30日(土) 午前4時頃です。依然として断続的な降雨です。その合間に、競技場青山門の向こうにある 神宮第2球場のネットが、白み始めてきました。夜明けの景色には、なにかしらほっとさせられました。なお、レースは続いています。
午前5時53分。 レース終了まで、あと約1時間です。がんばろう
主催者の説明では、「毎回12時間リレーに200チーム前後の参加があり、2011年10月の秋大会では250チームの募集を予定しています」と話す。参加者からとても好評なので、これからも続けていきたい、と付け加えていた。
主催者へのインタビュー(電話 8月26日)
レース経過時間、11時間59分40秒です。あと20秒でレース終了。その瞬間にたすきの回数測定が終わります。多くのアンカー・ランナーは、このゴール地点まで走り抜きました。
【体験記者の感想】
どんな会社の人たちも、勤務先の会社ではただ黙々と机に向かわざるを得ない。それが現実です。ところが、仲間たちと≪華金≫の夜、しかも夜通し、1.4kmの周回路を交代で走り続ける。走り続けた参加者の元気・笑顔・熱気は素晴らしかったです。
各チームは引き揚げ時の後片付けもちゃんと実行されており、実に爽やかな気持ちになれました。
取材を通して、これはまた参加したい、と高揚した気持ちになりました。エネルギーを与えてくれました。
【関連情報】
大会名 2011フライデーナイト・リレーマラソン in 国立競技場 夏大会
会場 国立霞ヶ丘競技場(東京都)
開催日 2011年7月29日(金)スタート午後7時 ~ ゴール30日(土)午前7時
主催 アールビーズスポーツ財団
運営協力 (株)ラントップ
写真・文:郡山利行
編集 :滝アヤ