小説家

連載・ミステリー小説「海は燃える」がスタート=「島へ」53号

 4月1日発売の、雑誌「島へ」53号で、ミステリー小説の連載をはじめた。
 最近は取材を中心とした、ジャーナリスト活動が多かった。多くの人に会って、いろいろな話を聞く。それらは、いつしか小説の素材になる、という気持ちがあった。

 カルチャーセンターでも、「小説の書き方」の指導をおこなっている。他方で、小説の実作発表は遠のいていた。小説の文学賞は9つある。それを活かして、小説家として、もっと書かなくては……、という意識が常にあった。ときには焦燥感もあった。
 今回の連載・ミステリーで、小説家の道、原点に戻る、という良い機会を得た。

 推理ものだから、内容は省略させていただく。舞台は瀬戸内海の芸予諸島である。どんな事件か……? 

38回「元気エッセイ教室」・文章の上達法

 いくら読書しても、多くの名文を読んでも、自分で書かなければ、文章は上達しない。

 文章の上達法は、できるだけ数多く書くことである。ただ、数多く書いても、推敲をくり返さなければ、文章は磨けない。書きっぱなしではダメである。

 推敲の重要性を認識することが第一歩である。文章上達への坂道は「書いて、書いて、書きまくる」、「推敲のくり返し」、この両輪で登っていくことができる。

 日記はいくら書いても、数十年書いても、推敲しないから、文章力は磨かれない。エッセイは読者を対象とするから、推敲が必要であり、文章の修練になる。

 書き上げたばかりの原稿は、自分に甘えている。(独りよがりの面が多い)。読者に通じず、不正確で、流れが悪かったりする。

 一度書き上げたら、大きな声を出して読む。そして、読みながら文章を修正する。ていねいに直したつもりでも、翌日にあらためて見れば、不備があるものだ。2、3日してから、ふたたび推敲する。

 文章の流れ、誤字、脱字など、完璧にできたら、次は「読者に読みやすく、わかりやすく」という面で、推敲する。時間をかけるほど、推敲は完全になる。 

 文章の上手な人ほど、文章の厳しさと恐ろしさを知っている。一字一句も疎かにしない。だから、語彙に対する、注意力が増してくる。

「小説の神様」志賀直哉は、原稿を書き上げてから、いかに催促されても、一ヶ月は手元においていた。推敲をくり返してから、編集者に渡していた。

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取材こぼれ話、瀬戸の島は雪だった、困ったな=大崎上島・木江

 推理小説を雑誌に連載することになった。この話が年末にあってから、どんな犯罪にするか、と思慮してきた。殺人事件では雑誌の雰囲気に合わない。そこで、二十歳の女性が誘拐された、拉致の犯人を追って、芸予諸島の島々を駆け巡る、という展開にした。

 女性編集長から、「挿絵はイラストしますか、写真しますか」と持ちかけられた。写真にさせてもらった。HPで、『TOKYO美人と東京100ストーリー』を手がけているし、将来は写真小説のジャンルを開拓したい、という気持ちが強いからだ。

 かつて小説が掲載された誌面は、みなイラストの挿絵だった。どれも上手なイラストレーターの方々ばかり。読み手には、作品がこんなふうに伝わるのか、と作者の意図や思いと違ったりして楽しいものである。
 ただ、主人公のイメージがどこか違うな、という違和感があった。写真ならば、筆者の私が作中のイメージで撮影し、みずから表現できるはずだ。


 第1回目の原稿が入稿できた。写真を撮りに大崎上島・木江(きのえ)へと前泊で出向いた。3月9日は朝から雨、そして雪に変った。
「最悪だな。3月に雪とはついてないな」
 雑誌には締切りがある。あらためて出直すには時間がない。ともかく、必要な情景の撮影に入った。はたして、巧くいくのか、と不安がつのる。

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あなたは、なぜエッセイを書いているんですか?

「元気に100百歳」クラブのエッセイ教室は37回を迎えた。教室の冒頭30分は、講師(私)によるレクチャーである。
 好いエッセイとは良い素材が先か、磨かれた文章力が先か。文章家の間でも、どちらがより重要で優先するか、と意見の分かれるところだ。

 良いエッセイの条件の一つは、すくなくとも文章で蹴躓(けつまず)かないことだ。だから、同教室では文章作法や技法というテクニックの強化を中心においてきた。かなりの成果が得られてきた。

 今回はあえて書く事への原点にもどってみた。「あなたは、なぜエッセイを書いているんですか?」という質問を向けてみた。個々の受講生にはその回答を求めなかった。
 参考になるだろう、3項目をあげてみた。

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35回「元気エッセイ教室」

 エッセイは誰のために書くのか。極端かもしれないが、『エッセイは読者のために書くものだ。自分のためならば、日記だけに留めるべきだ』と私は言いきっている。
 独りよがりの下手な叙情文(エッセイ、小説)は、義理で一度読んだにしろ、「もう結構、二度と読みたくない」と思う。そんな本心は作者に言えたものではない。


どんな作家でも、最初から名文・名作など書けたわけではない。いま流に言えば、超下手だった習作時期があるはずだ。それを越えていく過程で、ときには巧いな、名作だと思える作品が生まれる。ところは次は駄作だったりする。
 創作活動とは、そのくり返しで上達していくものだ。
 やがて、上手な作品が安定して連続的に書けるようになるものだ。

 同教室は約4年間続いてきた。受講生の文章力が磨かれてきた。そのうえ、豊富な人生経験に裏づけされた、良質の作品が次々に生まれている。

 他方で、新しく入られた受講生もいる。「着想から作品化までのポイント」の再確認をおこなった。

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かつしか区民大学「写真と文章で伝える、私のかつしか」で野外実習

 表題の講義は昨年11月13日(金)にスタートした。講師を受け持ち、4回目となった。これまでは「柴又学び交流館」の室内で、金曜日の夜の座学だった。
 1月17日(日)は晴天で風は弱く、真冬にすれば、天候に恵まれた。同日は10時~17時まで、葛飾・柴又かいわいで野外活動を行った。

 一級河川・江戸川の土手にはランニングやサイクリングを楽しむ人出が多かった。
此岸の河川敷グランドでは、いくつもの少年野球チームが練習する。対岸には緑豊かな市川市の丘陵が横の帯状に広がる。同市の円い独特の給水塔が童話に出てくる帽子のように見える。上流、下流の鉄橋ではともに電車が行きかう。都会の喧騒とした町並みから開放された、視野の広い快い光景だった。

 午前中は写真の撮り方で、構図を中心とした実技を行う。
「一枚の写真から、説明がなくても、『葛飾』の風景だとわからせてください」 と受講生たちに課した。

 下流の駅舎には「新柴又駅」の表示がある。土手のポールには「海からの距離」、河川敷備品倉庫には「葛飾区施設」と記されている。少年野球のユニフォーム「葛飾」を指し、構図のなかに取り込むようにとアドバイスした。
受講生が一団となって、熱心にシャツターを切る。


 寅さん記念館、山本亭、矢切の渡しなど、葛飾・柴又を代表するスポットに足を運んだ。写真の「キャプション、タイトル」を考えながら撮影し、メモも取るように、と指導する。

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36回エッセイ教室・講義の紹介=「元気に百歳」クラブ

「元気に百歳」クラブで、エッセイ教室の指導を行って、約4年間(1年間・10回)を積み重ねてきた。今回で36回だ。毎月書くことで、全員のレベルが著しく成長した。「うまくなったな」とつねに思う。


10号ごとに、世話役が冊子を作り配布している。その内容もよい評価をいただいている。このHPで、作品紹介をしてきたが、そ役目は終わったと判断した。

 今後は、教室の冒頭のレクチャーのレジュメを掲載し、このHPを見てくださる方に、多少なりとも、エッセイ教室の雰囲気、内容を知ってもらいたい。


各種の文章の書き方

日常生活の出来事や事実を述べる、叙述の文章にはいろいろあります。日記、作文、自分史、エッセイ、コラム、小説などがあります。学術的な明確な分類や定義はありません。書き方には大なり、小なり、違いがあります。今回は書き手の立場から、その再確認を行います。

【日記】 日常生活などを記録として書き残す。事実のみを記す。将来は史実になる可能性があります。犯罪の場合は、証拠品となり得ます。

【作文】 日常の体験、一つの事がら、出来事などを、与えられた枚数で書く。ありのままを書くことが求められます。

【自分史】 人生のなかで、主要なできごとを中心に書き遺す。「私」が歩んできた道、生き方、信念、周りの人たちとの関わりを時系列で書く。ある程度の自慢ばなしになる。

【コラム】 身辺の出来事、世間の事件、政治経済、文化などと範囲は広い。それら一つ(目玉)を取上げて、「私」の考え、意見、主義主張を述べる。気の利いた風刺や話題を提供する。

【エッセイ】 身近なできごとを取上げて、他人に読んでもらう。テーマ、構成(ストーリー)の組み立て、読み手に感銘、共感、感動を与えるもの。

【小説】 読者の想像力を刺激させ、楽しませるために書く。事実は必要でないが、作中のリアリティーは要求される。


Aエッセイの書き方のポイント(コツ)

①「失敗談」「私の恥部」「隠したいこと」「悩みや苦しみ」「喧嘩」「対立」を書けば、高い評価の作品になります。

②作者の自慢ばなしは書かない。

③最近、「私」が凝っていること。(他人が呆れる)その徹底振りなどを書く。
「私」の特異な個性を愛してくれる読者がいる、と信じて書く。

「読売日本テレビ文化センター」金町の講座・講師がスタートする

 文章に関連したカルチャー講座がさらにひとつ増えた。「読売日本テレビ文化センター」金町で、12月3日から「公募のエッセイを書こう」がスタートした。毎月、第1木曜日の14時15分から2時間である。

 金町駅(JR、京成電鉄)からゼロ分の「ヴィナシス金町」だ。新築の総合施設で、区の図書館、進学塾、飲食店、外食レストランなどが入居する複合ビル。真新しい教室だけに環境は良い。

 同センターには、既存の吉田陽子さん「エッセイを書く」がある。受講者層が多少なりともバッティングしないように、「公募のエッセイを書こう」とした。
これは単にエッセイを書きたい人に教える、という領域を越えたもの。公募で入選、入賞をめざす。講師としては、公募の結果が受講生への指導評価になって現れる。責任は重い。
 私はどこの指導の場でも全力投球している。これまで以上に自分に緊張を持たせるものだ。


 産経学園・銀座が新築ビルへの移転、4月開講をめざす。秋口から講師選定などが進められてきた。11月末に同本部から連絡があり、第4火曜日の10時~12時で、『やさしい文章教室』という仮題で、講座開設の内諾を得ている。


 文章関連の講座の数が増えれば、添削する作品数も増える。私の執筆がそちらに割かれてしまう。
 私はかつて講談社フェーマス・スクール「小説講座」で伊藤桂一先生(直木賞作家)から指導を受けた。先生は吉川英治文学賞の撰者、日本文藝家協会、日本ペンクラブの理事など多忙な方だ。その後の、指導は数十年に及ぶ。
 ある意味で、伊藤先生があって、いまの作家としての私がある。
 
 伊藤桂一先生に恩返しはできないが、後輩への指導が私の恩返しだと思っている。


 関連情報

「読売日本テレビ文化センター」金町

11月26日は「ペンの日」。著作権違反で、犯人不詳で告訴も

 日本ペンクラブは創立74周年を迎えた。毎年11月26日は「ペンの日」として、創立の祝賀の宴が行われる。今年も、東京会館(千代田区)のローズ・ルームで開催された。
 森みどりさんのピアノ演奏とバス・バリトン歌手の清水宏樹さん(ブタペスト国際声楽コンクール入賞)の歌からはじまった。

会場の一角には、日本ペンクラブ歴代会長の顔写真パネルが置かれていた。初代会長は島崎藤村、2代正宗白鳥、志賀直哉、川端康成と続いてくる。近いところで、前会長(14代)は井上ひさし、現在(15代)は阿刀田高とならぶ。


 阿刀田高会長は挨拶で、「来年9月下旬に開催される、国際ペン・東京大会があと一年を切りました。準備は順調に進んでいます。そういうと、吉岡忍さん(実行責任者のひとり)などは、まだまだ大変だ、というでしょうけど」と話す。吉岡さんの顔を見ると、苦笑していた。

(注)国際ペン・東京大会は1957年(川端康成会長当時)、1984年(井上靖会長当時)につづいて、25年ぶり、3回目。

「今年の国際ペン大会はリンツで開催されました。70カ国、140人の参加。そのうち、日本人が28人で最大でした。来年の東京大会をアピールしてきました」と述べた。

 浅田次郎専務理事が乾杯の音頭をとった。「日本ペンクラブは特殊な団体です。ふつう団体の理事といえば有給ですが、当クラブは無給、交通費も自前。会員が(それぞれの懐で)団体を支えています」とユーモアの口調で語った。浅田さんは酒が飲めない。それなのに、いつも乾杯の音頭。今回は飲めない話しはなかった。

 パーティー会場では恒例の福引が行われた。壇上では進行役が大きな声で当選番号を読み上げる。呑む人はそちらを横目で見るだけだ。


 山本澄子さん(立正大学名誉教授)から声をかけられた。彼女とは委員会仲間。「吉本孝明(りゅうめい)さんの宅に行ってきたのよ。穂高さんも誘ってあげればよかったわね」という。その写真を見せてくれた。
「次回はよろしく」
 山本さんはボストン大学卒で、同大学東京事務所(港区・麻布)の寺岡満紀子さんが紹介された。明るい女性だった。

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美人推理作家「新津きよみさんを囲む会」が発足

 新津きよみさんは、いまや推理小説作家の第一人者だ。今年は関西テレビ放送開局50周年記念ドラマ:『トライアングル』の原作者としても脚光を浴びた。2、3ヶ月に一度は新作を世に送り出すほど、執筆は超多忙の人気作家だ。当然ながら、読者層も広がっている。


作品の一部にはスーパーマーケットの万引き事件が出てくる。新津さんはかつて近在の店舗で、犯人が捕まる瞬間を目撃したという。
 彼女が店を出た瞬間、(保安員に)背後から、呼び止められた。「一瞬ドキッとしました。何で? 私が」と思ったという。ところが、彼女の真横にいた人が万引き犯だったのだ。連行される一部始終を見ていた、新津さんは強烈な印象となり、小説の素材のひとつになった、と打ち明けてくれた。

                     (左から、古関雅仁さん、新津きよみさん、関根稔さん)


 大手スーパーの店舗管理職で、大の新津きよみさんファンがいる。新刊が出るたびに、購読している。関根稔さん、古関雅仁さん、持田重雄さんの3人だ。かれらは常々、「流行作家と生の声で話を聞いてみたい」という願望を持っていた。

 3人は日々のスーパー業務で、多種多様な万引きと向かい合う。捕捉(ほそく)した万引き犯の、生活の困窮、盗癖、社会的背景などを知る機会が多い。警察にどのタイミングで出すか。それら判断は実務の一つだ。
 推理小説の情報提供者として、新津さんにもメリットあるだろう、と橋渡しをしてみた。彼女の承諾が得られた。

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