【新刊】 穂高健一著「紅紫の館」(郷士・日比谷健次郎の幕末)
私の新刊「紅紫の館」(こうしのやかた)を案内します。
正月休みには、幕末の歴史小説として、味わってください。
タイトル = 「紅紫の館」(郷士・日比谷健次郎の幕末)
出版社 = 未知谷(みちたに)
定価 = 2000円+税
販売先 = 全国書店、およびアマゾンなどのネット通販
発売日 = 2020年12月25日
【あらすじ】
安政7年3月3日に、雪降る桜田門外で、井伊大老が暗殺された。徳川幕府の瓦解のはじまりだった。江戸城内には、最高官位の和宮に献上された豪華な「5段ひな人形」が飾られていた。家茂将軍の権威と威光をしめす演出であった。井伊が殺害されると、すぐさま極秘裏に撤去された。
日比谷健次郎は武蔵国足立郡の郷士で、北辰一刀流の免許皆伝である。日比谷家、三郷の加藤家、八潮の佐藤家の三家は、徳川幕府の特命を請け負う「内密御用家」であった。徳川政権が倒れて、戊辰戦争が勃発すると、三家は隠密として敏捷に活躍する。
「徳川の頭脳」といわれた陸軍奉行並の松平太郎が、江戸城の無血開城前に金座・銀座から秘かに100万両を運びだす。隠密御用家は埋蔵金の隠し場所につとめた。膨大な金が旧幕府軍、新選組、奥羽越列藩の戦費となった。
新政府軍が上野戦争を仕掛けてきた。戦火のなか、日比谷健次郎たち三家は命がけで、寛永寺貫主の輪王寺宮を救出する。奥州に逃げ延びた輪王寺宮は『東武天皇』として即位し、『延壽』(えんじゅ)という元号を発布した。
西側の幼帝と東側の東武天皇という、南北朝に似た国家分断の戦いになった。新政府軍が勝利し、元号『延壽』が歴史から消された。
戊辰戦争が終わると、桜田門外の変で消えた5段ひな人形が、悲劇の皇女・和宮にからむ意外な展開をみせた。
薩長政権がねつ造した幕末史を暴く歴史小説である。