第94回 元気に100エッセイ教室 = ひらがな、ルビについて
あなたのエッセイを、読者にいっきに読んでもらう。味わってもらう。それには『立ち止まらせない。首を傾げさせない、ページを後もどりさせない』の3要素がとても重要です。
小説を書くひと、目ざすひとなどは、この3つの要素がとくに重要です。長文のなかで、読みにくい漢字、わかりにくい地名や固有名詞などがいくつも出でくると、長丁場のラストまで読んでくれません。
文章の推敲(すいこう)のさい、漢字からひらがなへと、次つぎに切りかえていく。漢字の読めないのは最悪です。まだ、ひらがなの読みにくいのは読者も納得してくれます。
「ひらがな」化は、知恵であり、勇気でもあります。
「読みやすくする留意点」
① 文章の流れを良くするためには、大きな声をだして、くり返し読む。
ちょっとでも作者みずからの声がつかえると、それは読者にとって文章の流れが悪く、混乱をまねき、首を傾げさせるものです。
最悪は読むことさえも止められてしまいます。
※声を出して読む都度、どこかで声が詰まる。2度、3度と書きなおしていくと、文章の流れが良くなる。5回ぐらいまで、読みなおす、書きなおす。
その習慣があなたの身につけば、まちがいなく『読みやすい文章ですね』と誉められるレベルになります。
② 漢字(3割)とひらがな(7割)の比率を考える。叙述文学のエッセイと小説などは、ひらがな比率をより高め、7割以上にしていく。
接続詞、形容詞、副詞などは思いきって総てひらがなにしてしまう。動詞も可能なかぎり、ひらがなにする。
そうすれば、目立つ漢字が立ち上がり、単語一つずつが強いインパクトになる。と同時に、作者の強調すべき点が目で追えます。
③ 会話文において、女性が語る「」は、ひらがなを多くする。
女性特有の柔らかな雰囲気が、作中にかもしだされてくる。「大和ことば」なども、入れると、情感が満ちてきます。
④ 常用漢字を外れた漢字は、基本的にルビをつける。ひらがな比率を高める効果にもなる。
パソコンならば、かんたんにクリック一つでルビが打てる。
『ルビで、行間が開かない処理の仕方』
パソコンのルビ機能そのままでは、大きく行間が開いてしまう。行間が開かない方法があります。
範囲指定をしてから、
(全文の場合は、Ctrlを押しながらA)
「ページレイアウト」→ 「段落」→『インディテントと行間隔』 そして、行間(N)の▼をクリックし、「固定」をえらび「間隔」→18pt
ポイントは、18pt ~ 20がのぞましい。
※ わからない人は、これをメモして、PCが理解できるひとに訊くとよいでしょう。
⑤ 人名と地名は、作者にとってよく知る、わかっているもの。しかし、作者がこの程度はわかるだろうとおもっても、読者にはわかりにくい。
なにかと「ルビを打つ」習慣を身につける。
とくに地名など、わからないままに読んでいると、作品の味が阻害される。途中から、作品自体が詰つまらなくなり、頭のなかに、印象が残りにくくなります。
⑥ 一つのセンテンスのなかに、13~15文字に1か所くらいは、読点(、)を打つ。読点がないと、読みづらく、ときには意味合いがちがってしまう。
※ ひらがなの多い文章にすれば、作者の文体にまで昇華できます。ひらがなは、多くの人に作品を読んでもらえる、つよい味方です。