A020-小説家

日本ペンクラブの会長には、浅田次郎さんが再任

 日本ペンクラブの新理事30人のなかから、浅田次郎さんが第16代会長に再任された。
「私はこう見えても、村上春樹さんより2歳も若いのですよ」
 会場から、えっ、とどよめきが起きた。浅田さんはふだん寡黙な方がだ、壇上に立つと、ユーモアを織り交ぜたスピーチの上手だと常づね思う。

 初代会長は島崎藤村である。

 同総会が5日27日に東京會舘で開催された。議長には山田健太さん(専修准大教授)が選ばれた。2010年に開催された、国際ペン東京大会(当時、阿刀田高会長)で、使途不明金が3500万円ほど出たことから、3年間にわたり、同総会は責任追及で紛糾してきた。

「私たちの会費で、日本ペンクラブが運営されている。執行部には責任があり、事務局も会計がずさん過ぎる」と鋭い批判が飛び、
 この間に、調査委員会ができた。調査結果報告書によると、故意と思われる会計処理や、個人的な不正は、執行部にも事務局にもなかった。それでも、双方の対立は続いた。

「国際ペン大会は会員が手弁当で、国際大会を独自に運営し、(電通などイベント会社に依頼せず)、大成功させた。億円単位の費用で、多少の使い道が不明瞭な金が出たところで、事務局が使い込みしたわけでもないし。目くじら立てることではない」
 会員の大半は鷹揚に執行部を擁護していた。企業ならば1円でも、不明金は許されないけれど、作家や文学者はもともと大雑把な性格で、儲からない文筆でも精魂をこめるなど、金銭感覚が弱い。

 3年間続いてきた対立だったが、総会の議決が終わった後、浅田会長があえて発現を求めて、
「使途不明金という言葉は、悪いことの代名詞に思われる。事務局を含めて、だれも不正などしていない。曖昧、ルーズな金銭処理にたいして、執行部は謙虚に反省し、今後の糧にしたい。もう、この問題には終止符を打ちましょう」
 と述べた。
 大半の参加者たちは拍手をしていた。

 今回は規約で、理事が40人から30人と10人減となった。それに伴って、「電子文藝館」の委員長である大原雄さんが外れた。鈴木康之さんが新理事で同委員長に新任となった。

 私は、鈴木さんと広報委員会で二人三脚で対応してきた仲である。鈴木さんに対して、
「これを機に、電子文藝館の委員を外れたい。私は小説家として書くことなら協力できるが、校正は得意でないし、エディター(編集)畑でないから」
 と申し出た。
 これまで同委員会が取り上げる、作家たちの掲載前校正は苦手だった、とそれらを語って聞かせた。
「この委員会には、穂高さんと村山さんしか、親しい人はいないし、やってよ。電子文藝館はネットに詳しい人が必要なんだから」
 と鈴木さんに言われたが、考えてみるよ、と態度を留意した。

 一方で、広報委員会の相澤予剛委員長から「よろしくね」「こちらこそ」と一言返事で応じた。会報委員会の清原康正委員長には、「これまで会報のお手伝いをしてきたけど、正式にメンバーに組み込んで」とこちらから依頼した。
「歓迎だよ。穂高さんは写真が撮れるし、記事も書いてくれるし、願ってもないことだ」
 と快諾だった。
 私は取材して書くことが好きなタイプで、エディター(校正)はむしろ負担になるだけ。今後は広報と会報の路線で行きたいと考えている。

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