A020-小説家

高齢者にも応分の会費負担を。総会は波風立たず=日本文藝家協会

 5月14日、日本文藝家協会(篠弘会長)の第67回総会がアルカディア市ヶ谷(私学会館)で、午後3時から開催された。
 同協会は、文学者たちの生活権をまもる職能団体で、会員の平均年齢は66歳である。ここ1年間の新入会員の平均年齢は57歳である。
 会員にはどんなメリットがあるのだろうか。おもなものは著作権の管理運営を委託できる、文藝国民健康保険に加入できる(人間ドックが受けられる)、御殿場の富士霊園の「文学者の墓」(墓碑に、作家名と代表作を刻む)が購入ができる。この霊園は多くの文学ファンに人気がある。

 むろん、ほかにも職能団体としてメリットはある。

 「思想信条の自由を守る」という活動をメインおいた、日本ペンクラブとは体質が異なる。

 日本は高齢化社会である。同協会も多分にその渦のなかにある。総会では若返りを図るために、入会金を5万円から3万円に下げた。他方で、「高齢の会員にも、一部会費の負担をお願いしいた」と執行部が提案し、85歳以上の方の会費の無料が、今年度から半額徴収(1万円)と決まった。とくに、反対意見は出ず、すんなり決まった。
 

 総会に先立って、1年間で亡くなった会員59人のお名前・死亡日が1人ひとり読み上げられた。『人間老いて死ぬ』それは避けられない。安岡正太郎さん、丸谷才一さんの名が出てくると、私は若いころ文体を勉強させてもらったな、藤本義一さんは私が受賞した文学賞の選者だったな、とあれこれ想いが甦る。そして、1分間の黙とうになった。

 総会が終わると夕方6時からの懇親会まで、1時間半ほどアイドルタイムがあった。同会館の2階喫茶室で、出久根達郎さんと2人してコーヒーを飲み、サンドイッチをつまんだ。あれこれ談義しているうちに、この春の「朝日新聞・書評意委員会」の立石ツアーが話題になった。楽しかったし、再度の希望があると出久根さんがいう。
 こんどは「納涼、柴又ツアーをやりましょう。飲み会は移動して立石で」と話がまとまった。
 前回はかつしかPPクラブも加わったので、参加者は20人強になった。「納涼、柴又ツアー」もきっと大人数になるだろう。

 同協会の懇親会の「ミニ講演会」曽野綾子さんで、演題は『おかしなめぐり合わせ』で、マダガスカルの支援について面白おかしく、語られていた。「ここだけの話ですが」という前置きがあったので、内容は記さないが、話し上手な方だと思う。みんなの目をしっかり演壇に惹きつけていた。

 懇親会は会員よりも、出版社、報道関係、著作権関係、関連団体など招待者の方が多いのが特徴だ。作家の出席者が少ないので、ごく自然に日本ペンクラブのメンバーが集まってくる。そして、タバコ談義になった。
 高橋千剣劔破(ちはや)さんは北アルプス・立山に登ったら、呼吸がゼーゼーひどかった。(学生時代は立教山岳部)。そこで医者に診てもらったら、タバコを止めなさい、と言われて、ぴたりやめた。一方で、酒が一滴も飲めない浅田次郎さんは、「タバコだけは止められないよな」と話す。

 吉澤一成さん(PEN事務局長)は、アラスカの鮭釣りを語る。鮭が遡上するのは1週間ほどしかなく、漁期にタイミングを合わせて休暇を取るのが難しい、と語る。とくに、ことしは多忙で、出かけられないと話す。
 巨大な鮭を釣り上げるのは、電動リールでなく、手で巻き上げるという。巨きな鮭は引き揚げる最中に、生死の狭間にいるのだから、水中で暴れまわる。無理に引き揚げようとすれば、太い釣り糸が切れてしまう。根気も大切で、格闘技ですよ、とスポーツ感覚で語っていた。

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