A020-小説家

大荒れの日本ペンクラブ・総会、作家たちは歯に衣を着せず(上)

 第55回、日本ペンクラブ(阿刀田高会長)の総会が5月25日、東京・千代田区の東京會舘で開催された。議長には山田健太さん(専修大准教授)が指名された。

 日本ペンクラブ(P.E.N)定款の改定の討議に入った。高橋千劔破常務理事から、何年間も改定が延び延びになっていたと言い、その趣旨説明があった。
「重要な定款がながく改定もされず放置されていた、執行部の放漫ではないか」
 鋭い質問がさっそく出た。
「これまでの総会で出席者(委任状を含めて)3分の2の達せず、法的に改正できなかった。今回は会員1860人に対して、1266人の出席が得られた」
 という釈明で切り抜けた。わずか26人超で、参加者の賛成多数で可決した。
      
           厳しい追及を受ける日本ペンクラブの執行部
    
 2010年の決算報告に入ると、メディアでも報じられてきた、「簿外口座」に対して、鋭い質問が飛び交った。

 篠弘監事の監査報告の段階から、国際ペン東京大会で予算に対して、大幅な予算超過(約4000万円超)がある。それにもかかわらず、臨時総会もなく、理事会にもかけず実施したと、監事すらも容赦なく、批判側にまわっていた。

 簿外口座とは世間では通常、不正の温床である。内部けん制の体制ができていない、と篠監事が指摘する。
 ただし、公認会計士の特別調査で、簿外帳簿に関して不正はなかった、という報告書を本日受け取った、と付け加えた。吟味をする余裕はないままに、それを読み上げて紹介するだけである。


 監督官庁の外務省から体質改善の要請があったと、財務委員長が報告する。(注)

「P.E.Nは会員の会費から成り立っている、無駄金に対して、執行部の責任はどうなのか」
 会員が強い語調で迫った。

「国際ペン東京大会では、P.E.N全員がボランティアで活動した。簿外帳簿に対しても、現段階で不正はなかったと報告を受けたばかり。解明すべき必要はある。いま、ここで執行部が責任を取って辞めるのは簡単。だが、当事者がいなくなったら、実態解明ができなくなる。事態は進行中である。私は辞めません」
 浅田次郎専務理事は言い切った。

                          阿刀田高会長(左)、浅田次郎専務理事(右)


 外国からの参加者が150人のところ、250人となった。開発途上国から参加者には航空券を出した。それが大きな予算超過となった。それらの説明があった。

「会計の処理に不適正があった。その点は深く反省し、お詫びする。ただ、予算超過が、次年度の財政を圧迫していない。P.E.Nには十二分な資力の余裕がある」
 阿刀田高会長は苦渋の表情でも、余裕がある態度だった。

「思想信条の自由」、「表現の自由」がP.E.Nの基本だけに、歯に衣を着せない質問が出てくる。メディアにも登場する、大物作家やジャーナリストたちが攻守にわたって、激しい討論を交わす。日本を代表する作家・元理事すら、先陣を切って攻撃する。【つづく】

         
       (注)監督官庁
          日本ペンクラブは外務省
          日本文藝家協会は文部科学省
          双方とも、天下り理事は一人もいない。全理事は無給である。     

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