A020-小説家

外れ馬券の裏に、著名作家のサイン

 国際ペン東京大会が9月下旬に、日本では25年ぶりに開催される。会場は京王プラザホテルと、早稲田大学の二ヶ所である。同大会の予告シンポジウムが7月11日(日)に、東京ビックサイト・会議塔で開催された。

 12時半からは日本ペンクラブ専務理事・浅田次郎さんの『読むこと 書くこと 生きること』の講演会だった。浅田さんは1日の半分は読書に、後の半分は執筆に費やすという。彼は話し上手で、ユーモアたっぷりに語る。観客は常に笑いに満ちていた。

「なぜ、浅田次郎というペンネームにしたか」
 それにはいろいろ自説、他説があるという。将来、小説が売れるようになったら、書籍売り場の「あ」のコーナーで最初に並ぶ。これは目立つ。それも理由の一つだった。サイン会に話が及ぶ。浅田次郎は、割りに書きやすく、次々にサインを処すことができる。
 顔は売れているようでも、ラーメン屋にいても、どこかで見た顔だな、という程度。ただ、神田の古本屋街では、間違いなく特定されるし、サインを求められる。
競馬場で、サインを求められたエピソードに及ぶ。競馬新聞と赤鉛筆を差し出される。ひどい人になると、外れ馬券の裏に書いてくれ、という。会場は爆笑だった。

 浅田さんの話をじっくり聞いていたかった。私は日本ペンクラブ広報委員で、次のシンポジウム『環境と文学 いま、何を書くべきか』の打合せの場に出向く必要があるので、途中で区切りをつけた。今回は写真撮影の役回りだった。
    

 基調講演は日本ペンクラブ・阿刀田高会長で、国内外の著名作家が集まる、国際ペン・東京大会の概略説明を行なった。引き続き、シンポジウムは司会が吉岡忍、パネリストが中村敦夫、佐藤アヤ子、西木正明の各氏だった。それぞれが現在の環境問題を抽出し、それをどう文学で表現するか、と熱弁をふるった。

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