A020-小説家

日本ペンクラブ・役員の暑気払いに、取材で潜入してみたが?

 日本ペンクラブは、2010年に、国際ペン・東京大会が内定している。現在はロンドンの本部の正式決定を待っている。
 日本側としては大会の受け入れ態勢をどうするか。準備委員会をどう立ち上げるか。その下打合せが各委員長、副委員長のレベルでおこなわれている。それら予備の打合せのあと、東京・一ツ橋の如水会館のガーデンハウスで「暑気払い」がおこなわれた。

 私は広報委員として、特別に同席させてもらった。私的な飲み会だし、あらたまった取材できる雰囲気ではなかった。鈴木康之編集(広報委員・副委員長)と話すうち、「取材をやめて、穂高さんも飲みに徹したら」、といわれた。「そうしますか」
 
 私の右席は阿刀田高会長だった。バーベキューの区割りが境目となったので、左席の山崎隆芳さん(企画事業委員長)との話が弾んだ。山崎さんはかつて大手出版社の文藝関係の名編集長だ。ユニークな話が多かった。佐藤愛子のユーモア小説の話はとくに面白かった。

 ハワイアンが今日が誕生日の人に、歌をプレゼントしていた。吉岡忍さんは茶目っ気がある人だ。「穂高さん、きょうが誕生日だといいなよ。どうせ、身分証明書は求められないし」という乗りから、出て行って、歌を一曲貰った。
 ガーデンハウスの人が、みな誕生日だと、信じた。ちょっと乗り過ぎかな。吉岡さんはとくに愉快がっていた。作家の実像となると、こうした茶目っ気がたっぷりあるものだ。

 この日が本ものの誕生日の女性がいた。ワインを一杯プレゼントしたらといわれて、薦めにいった。どんな方々ですか、と女性から問われた。
 浅田次郎さんとか、何人かの人を教えたら、「ほんとうだ」とおどろいていた。だれもが普段の顔だから、居酒屋などにいっても、名の売れた作家でも目立たないものだ。

 二次会は学士会館だ。料理はもう腹に入らない。ただ、アルコールを飲むだけだ。左隣の高橋千劔破常務理事が、「松本幸四郎さんのインタビュー記事はよかった」とまわりに宣伝してくれていた。右隣の大原雄さん(電子文藝館委員長)は、2ヵ月前まで、NHKの報道局長だった。若き記者時代の最も思い出になるものを聞いてみた。

 それはロッキード事件で、田中角栄が東京地検に呼ばれた日だという。報道関係者は、角栄の逮捕はないか、もっと先だと読んでいたので、東京地検の回りは静かだった。
「吉永特捜部長が廊下でいろいろ指示をしていた。おかしいな、と思った。田中角栄がそのうちに現れた」。そこでデスクに連絡したら、本ものか、と問われたという。「田中角栄の顔ぐらいわかりますよ」と答えたという。

 大原さんとは長く話したし、電子文藝館の作品を読んで感想がほしい、というので、近々読んでみたい。
 広報活動を通して、各委員長、副委員長とは顔なじみだし、記事を書くプレッシャーもないし、仲間意識で楽しく飲めた夜だった。

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