早乙女貢さん・お別れ会の夜
直木賞作家・早乙女貢(さおとめ みつぐ)さんが、昨年末に死去した。早乙女さんは親戚筋が皆無なので、密葬は「士魂の会」メンバー8人でおこなわれていた。「お別れ会」が2月4日、18時から東京会館(東京・丸の内)9階の大広間で開催された。主催は日本ペンクラブ。参列者は会場一杯で、推定500人くらい。実に大勢で、早乙女さんの人柄が偲ばれる。
生前親しかった佐藤陽子さんがバイオリンを2曲奏でた。会場に物悲しく流れた。
日本ペンクラブ阿刀田会長が、「お別れのことば」を述べた。当クラブが2000人の会員という大きな団体になれたのは、早乙女さんの貢献が大である。阿刀田さん自身も早乙女さんの推薦を受けて入会したという。「ペン会員の10分の1は、早乙女さんの推薦ではないでしょうか」と述べた。
日本文藝家協会を代表して伊藤桂一さん。1955年のころ「泉の会」に所属し、伊藤桂一さん、尾崎秀樹さんらと同人誌「小説会議」を創刊した仲間である。その後も長い付き合いだった。早乙女さんは無宗教だったが、「私は寺の息子であり、けさは般若心経を唱えてきました」と明かす。
早乙女さんが『会津士魂』で吉川英治文学賞を受賞した。選者のひとり伊藤さんは、その作品とともに、作家魂を高く評価した。
菅家(かんけ)一郎・会津市長は、「戊辰戦争から140年目に、早乙女さんが亡くなられた」と歴史的な流れから述べた。会津は官軍からは朝敵にされた。早乙女さんが会津藩の武士魂を世に知らしめてくれた。「早乙女さんは会津の誇りです」と結んだ。