「東京アンチモニー工芸品」わが国の伝統的工芸品に(上)=郡山利行
経済産業省は、2015(平成27)年6月18日に、「仙台箪笥」「江戸鼈甲」および「東京アンチモニー工芸品」を伝統的工芸品として指定した。
アンチモニー産業は、世界で唯一、明治初年度から東京だけで生まれて発展してきた、世界に誇る東京の地場産業である。
アンチモニー製品は、昭和40年代前半までは輸出品の花形だった。
アンチモニー製品輸出アンチモニー工業協同組合(現・東京アンチモニー工芸協同組合):50周年記念誌より (平成11年7月刊)
明治初期の頃には、問屋は日本橋に、工場は台東区にあった。やがて、大正・昭和時代に入ると、墨田区から葛飾区へと工場が広がってきた。
アンチモニー製品葛飾アンチモニー会:葛飾町工場物語 第4回(平成23年1月刊)
アンチモニー製品は、重量感と鋳肌の滑らかさ、微細な模様なども正確に表現できることなどが特徴である。
かつては小さな胸像や灰皿、ライター、宝石箱やオルゴールなどの製品は、至るところで見ることができた。
ガラスやプラスチックなど、代替え品となる素材が多くなった現在でも、優勝カップやトロフィー、記念メダルや宝石箱、置物などアンチモニーが製造されている。