空が澄み渡った快晴の下、次女と御正体山に登った。父娘(おやこ)の登山は久しぶりだ。以前はいつだったか、思い出せない。少なくとも、ことしは初めてだ。
年初から父娘の間で、時折り、「山に登ろうか、今度いっしょにマラソンに出ようか」という話題はあがっていた。それぞれ別の生活様式を持つ。ふたりのタイミングがうまく合わなかった。11月になって、師走6日に、父娘ともに同一の日程が取れたのだ。
私には3人の子どもがいる。長女と息子は運動など見向きもしない。
次女のみが市民マラソン(フル、ハーフ)、登山(月に3、4回)、アクアラング(海外で潜る)、自転車(離島一周)とアクティブな娘だ。年間通して山に登っているし、秋口以降はたびたびフルマラソン、ハーフマラソンに出場している。
マラソンと登山が私には共有できる。「父娘のDNAがよく似ている」ともいわれる。ただ、私は瀬戸内の島に生まれ育ったから、娘が興味をもつ離島とか、潜水とかにまったく関心がない。お金を掛けてまで離島とか、海に泳ぐにいく気がしないからだ。海よりも、山に登ったほうが好い、という考え方で徹している。
「富士五湖周辺の山はどうかしら?」と娘が御正体山、節刃が岳、杓子岳などを候補に上げてきた。私は迷わずに御正体山ときめた。過去から一度は登りたいと思っていた山だったが、アクセスが悪く実現できていなかったからだ。
登山計画はすべて娘に任せた。前日、娘からのメールで、村役場と市役所に電話して、雪情報を聞いてみたという。『昨日ちょっと雪が降った。山頂に残っているか否かは不明。下からみるかぎり、雪は見えない。軽アイゼンは持参しよう』という趣旨のことを伝えてきた。防寒着を含めて、それなりの用意をした。
新宿6時26分の高尾行きの電車に乗り込んだ。大月駅で乗換え、富士急行の谷村町(やむらまち)駅で下車した。この間に地図を見ながら、稜線ルートを登ることに決めた。娘が予約していたタクシーに乗り込み、道坂(どうざか)トンネルで降りた。
トップを歩く次女は実に余裕がある登り方だった。足は軽い感じだ。11月中旬に戸田ハーフマラソンに出場し、先週は川苔山に登っている。
私のほうは肩の故障から、ことしマラソンに出ていない。娘との体力の差は歴然としていた。(父親に合わせた歩調だな)それが読み取れた。
続きを読む...