新聞連載小説・山岳歴史小説「燃える山脈」が郷土の話題=松本・市民タイムス
日本ペンクラブの忘年会が12月15日、東京・中央区の鉄鋼会館で開催された。夕方6時から2時間足らずで終わり、作家たちはそれぞれが2次会に流れた。
私はあちらこちらから声をかけられた。野坂昭如さんが数日前に亡くなり、小中陽太郎さんが「野坂さんの歌のテープを聞かせるよ」というので、そちらに出むいた。
その席上で、長野県安曇野市出身の作家・高橋克典さんから、
「市民タイムスの連載小説がすごい人気だよ。まさか、私の地元ちゅうの地元、おひざ元で、広島出身の穂高さんが連載するとは夢にも思わなかった」
と絶賛してくれた。
「なにしろ、田植えも、稲刈りも、まったく知らない人が田園地帯の歴史小説を書くんだから、おどろきだよ」
「穂高って、だれだ。穂高岳、穂高神社など、著者名からして長野県人だと信じて疑わない。本名探しがはじまっている。それほど注目されているよ」
飲み会の席で、松本市を中心とする新聞社だけに、東京では読めない。いろいろ質問された。
10月1日に連載を介してから、約1か月後、同紙が10月29日号に、「燃える山脈」の特集号を掲載してくれた。
その紙面を紹介してみた。
『物語は「プロローグ」から、来年開削200年を迎える安曇野の「拾ケ堰」(じゅうかせぎ)の章へとすすみ、水がないために米が作れない安曇野の地に、奈良井川から灌漑用水を引こうという当時の先駆者の勇気ある行動が展開されている
年内は「湯屋の若女将」、「水の危機」の章が続く。物語はこれからが佳境、ますますめが離せない』
燃える山脈では、拾ケ堰の開削や、上高地を越えた、岐阜県の飛彈を結ぶ、「飛州新道」の開拓に取り組んだ人たちの郷土愛や人間愛を描く。
こうしたリード文で紹介されている。
作者の私は「国民の祝日」が来年8月11日から施行されます。人間は山から多大な恩恵を受けています。それを改めて見直してみよう、というのがメインテーマです。
拾ケ堰は水の恩恵、飛州新道は山道の恩恵、そして山岳信仰の三部構成になっています。人名と地名は実名ですが、物語はフィクションです。
史料・資料の列記の学術書とは異なり、歴史小説は「人間って、こういうところがあるよな」と描写する文学です。そんなことを頭の片隅において、たのしんでください、と記している。
「拾ケ堰計画、次々と難問」と「ここまでのあらすじ」で、登場人物が紹介されている。
同紙面では、
【拾ケ堰】が平成18年に農林水産省の「疎水百選」に選ばれた、と写真付きで紹介されけている。
【飛州新道】は当時の小倉村(現・安曇野市三郷小倉)から、大滝山(2,616㍍)を越え、上高地を経由し、焼岳(2,455 ㍍)の中尾峠を越え、飛騨高原中尾村に至った。
着工から16年目にして、天保6(1835)年に完成した。
槍ヶ岳を開山した播隆上人も、この道を利用した。