A030-登山家

神社はお参りしておくべきだった、大岳山=針谷孝司

大岳山(1267m)=針谷孝司

期日…2015年3月11日(火)  曇り時々晴れ

メンバー…(L)佐治ひろみ、武部実、中野清子、針谷孝司

コース…御岳駅8:58→御岳山駅9:30→御岳山→大岳山11:55→鋸山13:40→奥多摩駅16:30

 昨日の荒天も今日はまずまずの天気となった。
 青梅線の車中で全員がおち合い、御嶽駅からバスとケーブルカーで御岳山駅に到着した。身支度もそこそこに出発。
 御岳山神社までは蝋梅(ろうばい)が見ごろに咲き誇り、かすかな香りがただよう。東に開けるパノラマの中には新宿の高層ビル、更には横浜のランドマークタワーをはるか遠くに眺めながら、なだらかな舗装道に足を進める。


 町場通りでは、中野さんがみやげ物やの女将に声がけなどしながら、御岳山神社入り口に到着した。今日はスルーし、先に進む。ここで参拝しなかったのが災いとなったのか、後ほどハプニングが起きるとは、誰も予想できず、目指すは大岳山へ。

 芥場峠を過ぎると、ハイキング姿はいなくなり、登山道らしくなる。我々の口数は少なくなり、ひたすら大岳山を目指す。露岩にはクサリがついていて、片側が切れ落ちている場所もあるが、リーダーの佐治さん、武部さんはすいすい先にいく。中野女史は慎重に足を進める。

 大岳神社からはきつい急坂がはじまり、露岩にクサリのついた道を登る。
 先を行く武部さんが、なにやらきれいな小屋が見えているが、あれは大岳山荘なのか? 建替えたのかと、久しぶりに見る山荘の姿に懐かしさを感じているようだった。

 しかし、山荘に着くと、そこは廃屋のままで、洋館風の別館が幻かのような姿で、我々を迎えてくれた。 
 簡素な鳥居の大岳神社を過ぎると、きつい急坂がはじまり、雪が残るクサリのついた道を登ること20分。肌に汗を感じる頃、上に続く樹林には空の色が混じる。程なく大岳山頂上が現れた。

 あいにく快晴とは言えないが、1266mの山頂からは、丹沢山塊、富士山がはるかにそびえ、そしてすぐ隣には御前山がどっしりとある。
 いくつもの尾根が重なって全く素晴らしい展望だ。しばしパノラマを眺めて楽しみ、静かな山頂で昼食をとる。


 30分のランチタイムを終えて、冬型の天候で冷たい西風が容赦なく吹きつける中を出発した。
 山頂からは急な岩場を降りて行く。これが砂利もあって滑りやすく、とても怖い。岩と木にしがみついて、滑りそうになりながらも、慎重に降りていく。何とか岩場を抜けて明るい尾根道をしばらく進む。
 トバの中岩、沖の岩山で休憩。
 案内板は無く、誰かが建てた木片に書かれた名称でわかる程度の、何もないピークであった。
 歩き出して30分、御前山への分岐を過ぎて、ひと登りすると鋸山に到着した。20cm前後の岩が数多く転がり、視界がよくない。

 しばらく休憩し、いよいよ最終ラウンドにはいり、奥多摩町に向かって尾根道を急ぐ。岩場を降りる最中に、前方で武部さんが岩の上から仰向けに落ちていく姿が目に入る。


 これは大変と駆けつけようとしたら、前にいる中野女史が、岩場の途中で落下姿を目の当たりにしたショックで動けない状態に陥った。武部さんは幸いにも木々の枝がクッションとなって無傷だった。みんなホッと安堵する。
 でも、大事にならずよかった。
「やはり神社はお参りしておくべきだったかな」
 と少々反省した。
 その後は愛宕山から古いぎょっとするほど急な、長い階段を降りて、奥多摩駅に4時半到着した。 思い出の一つに残る山行となりました。


ハイキング・サークル「すにいかあ倶楽部」会報№188から転載

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