A010-ジャーナリスト

社交ダンスは心身を磨く(上)= 元全日本チャンピオンが語る

 ノーベル賞の授賞式パーティーでは、盛装した男女が社交ダンスを踊る。年配者でも、流れるようにリズムに乗り、踊っている。じつに輝いて見える。メイク、ドレス、優雅な非日常の世界がある。日本人の憧憬の一つだろう。
 
 ダンスは健康に良い。流れる音楽で、からだが応じて足腰、リズムを取る。相手(パートナー)がいるから、身体を使う、気を使う、頭を使う。若さを維持できる。

 わが国ではしだいに人口の高年齢化がすすむ。単なる長生きだけではつまらない。欧米のように、社交ダンスを愉しみ、ダンディーな若さを保つ。そうした生き方の心がけも必要だろう。

 81歳になった阿出川好一(あでがわ よしかず)さんが、元全日本チャンピオンの夫婦が経営・指導する橘ダンススクール(東京・駒込)で学んでいると聞いた。5月12日、同スクールに取材に出むいた。阿川さんは午後2時から30分間のレッスンだったので、先立つこと橘弘子さんから話を聞いた。

 指導者の橘正幸さん(61)歳と妻の弘子さんは、プロ競技選手として、「1999年・全日本オープン選手権」で優勝した華やかな経歴がある。現在は夫婦して同公認審査員である。

「わたし東京下町・葛飾立石に生まれ育った。看護婦でした」
 弘子さんは聖路加看護大学の在学中に、友達に誘われて同校「ダンス部」に軽い気持ちで入会した。スポーツ部員として活動したが、学生競技会では、記録を残すほどの成績はなかった。
 彼女は病院勤めの看護師になっても、ダンスを習っていた。夜勤を終えてダンス教室に通っても苦ではなかったというから、根は好きだったのだろう。

 その教室で、あるときプロの橘正幸さんの練習相手に選ばれた。「無料で学べる、ラッキー」と思い、彼女は練習に一段と熱が入った。一方で、好きで進んだ看護師を続けるか、ダンスを選ぶべきか。将来はどちらに行こうかと迷いはじめた。親との対立もあったようだ。

 結果として、夫・正幸さん=ダンスを選んだ。つまり、プロ競技選手(ダンス教師)となったのだ。それは甘くない、いばらの道だった。57キロの体重が2年後には46キロにも落ち込む。漸次、成績を重ねながら、夫婦はイギリスにも留学し、やがて全日本チャンピオンとなった。

 92年には橘ダンススクールを設立した。そして、3歳児から80歳の男性まで、ジルバ、マンボ、ブルース、ワルツなど、社交ダンスを教える。
 初めて来た人でも、一時間で、かんたんなステップをおぼえられます。だんだんと、深く、難しいステップをおぼえていくものです。
「ダンスはおぼえてくると、楽しみながら踊れます。シューズ一つあれば、天候に関係なくできます。パートナーチェンジで、いろいろな人と出会えます。新鮮な出会いと感動があります」
 元全日本チャンピオンの彼女は、ダンスの魅力をそう語ってくれた。

【関連情報】

橘ダンススクール

 〒170-0003
 東京都豊島区駒込3-3-19
 ☎ 03-5394-2229

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