A010-ジャーナリスト

かつしか80周年・菖蒲まつり=掘切菖蒲園


 2012年は葛飾区の区政80周年である。
 
 区の花は花菖蒲だけに、毎年「菖蒲まつり」が開催されている。

 期間は6月1日から6月20日(水)まで。

 場所は水元公園と掘切菖蒲園である。
 
 6月12日、掘切菖蒲園に出向いてみた。


 京成電車の掘切菖蒲園駅は、上野から各駅停車で約15分である。

 青砥駅からは2つ目の駅である。

 人出が多い土、日曜日でも、急行などは停車しない。

 最近にしては珍しい、昔ながらの赤い車両が走っていた。

 掘切菖蒲園駅の構内では、写真展が開催されている。

 写真の腕前に自信があれば、応募して入選すれば、来年は張り出されるだろう。


  水元公園の花菖蒲は、約100種で、1万4000株である。
  都内最高の広い敷地の都立公園だけに、のびのびした開放に満ちた観賞が楽しめる。

  堀切菖蒲園は、約200種で、約6000株である。
  狭い敷地でありながら、品種は多く、手入れがよいので、芸術的な美観が楽しめる。

 花菖蒲の魅力は、花魁(おいらん)の髪飾りに似た、花弁の美しさだろう。


 梅雨の季節には、華やかな花菖蒲が満開だ。
 一方で、地味な黒松が日本庭園の渋さを作り出している。

 いまはだれも黒松に興味の目を向けていない。

 10数人の写真クラブの方々がやってきた。
 まずセルフタイマーで記念写真を撮ってから、それぞれが散っていった。、


 カメラマンたちはりっぱな一眼レフ、高級カメラを持つ。8、9割方は花だけを狙っている。
 花弁が美しく、神秘的なのはわかる。そればかり撮ってなんに使うのだろう。

 花の百科事典を作る? それはまずないだろう。プリントしてみせられても、「きれいね」それで終わり。個人ブログに載せたとしても、花弁だけでは撮影者の感動など伝わらない。
 いずこでも見る花菖蒲だから。

 

 この青年も、花菖蒲の花弁ばかり狙っている。

 花があまりにも美しく、きっとまわりの情景が見えていないのだろうな。


 江戸時代の浮世絵にも、堀切の花菖蒲が描かれている。

 広重のタッチにまねて、手前の樹木を大きく取り込み、人物をやや遠くにおいてみた。


 この季節の土、日はたいへん混みあう園内だ。

 平日の曇天で、いまにも雨が降りそうとなると、人出はすくない。
 施設の車いすの老人たちには好都合だ。
 看護師か、介護士か、全員の記念撮影を行っている。

 


 小さな丘陵(盛り土ていど)には四阿がある。そこから一望し、花菖蒲の景観を楽しんでから、ふたたび小道をまわるとよい。


 来園者はしずかに観賞して楽しんでいるが、花菖蒲を管理する職員は四六時中あちらこちら動きまわっている。それも、小走りで。

 


 約200種の株には、それぞれ名前がつけられている。

 その多くは万葉から採用されたネーミングである。

 花の名前は古風でも、撮るはiPadで。

 しかし、日本人にはカメラが似合うのか、園内ではかぎりなく少数派だった。
 

 園内の主役は花菖蒲と、観賞する人たちである。

 それらを透かし見る、浮世絵の技法にチャレンジしてみた。

 難しい花の名が多い。ルビをふっているので、わかりやすい。

 だからといって、花の名前を一つずつ覚える気など、毛頭ないけれど。


 灯籠(とうろう)からのぞき見ると、別の世界が見えてくる。

 堀切菖蒲園は江戸時代に『江戸百景』に数えられていた。

 鈴木春信や歌川広重の浮世絵などに登場する。


 堀切菖蒲園は期間ちゅう無料である。

 土曜日、日曜日は、堀切、柴又、水元を循環する『かつしか菖蒲めぐりバス』(210円)が出ている。葛飾区内で1日、花を見て、満喫することができる。

 堀切蒲園駅から京成電車で、押上駅に出て(約15分)、東京スカイツリーにいく、新しい楽しみ方もある。

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