ムバラク大統領を倒した、「フェイスブック」って、なあに?(上)
世の中には、「食べず嫌い」「食わず嫌い」という言葉がある。取材先で、「私はインターネットが嫌いだ」という人に何度か出会ったことがある。
(ネットを使った結果、そう思うのかな?)
そんな懐疑的な気持よりも、パソコン音痴だろう、と聞き流している。時折り、パソコンを買ったが使っていない、という人もいる。一度はパソコン教室に通っているが、習熟できず挫折しているようだ。
(講師の教え方に問題があるんだな)
そのように理解している。
現在では、小学校の授業で必須科目としてパソコンを教えている。それら世代が確実に育ち、もはや二十歳の成人にまで達してきた。他方で、高年齢層までの各世代層への拡大は目覚しい。
ネットを使った交通機関のチケット手配、料理のレシピー、百科事典代わり、ニュースなど、膨大な情報のなかから必要なものが引き出し、利用している。ネットがなければ、生きていけないという意識だ。
情報化時代とはなにか。個人が新聞・TV・雑誌の情報の受け手側から、逆に、発信側にまわった時代をいう。いまや日本国内だけでも、ブロガーは数百万にもなった。みずからのブログで積極的に身辺の情報を出す。ものの考え方を示す。しだいに政治・経済・文化を変えはじめた。
かつて大手メディアが各種情報をコントロールし、為政者からのリークで、世論を操っていた面がある。ときには肝心なことは隠して報じない。そんなことから、メディア報道も、ときに嘘をつく、隠す、という疑いと認識が人々の間に潜在してきていた。
「メディアの情報に踊らされないぞ」
若者たちが大手メディアに見切りをつけてきた。TVを見ない、新聞も読まない。ネット情報で充分だ、という認識に傾注している。他方で、大手メディアからのニュースが興味本位の推理、推測、のぞき趣味の娯楽化へとむかい、その信憑性が一段と怪しげになった。
エジプト独裁政権のムバラク大統領は、メディアコントロールを行っていたと思われる。メディア支配がなければ、長期政権は無理だから。
チュニジアのベンアリ政権が倒れた。
エジプトの若者たちが立ち上がり、政権打倒の呼びかけをはじめた。それが一気に広がったのは、インターネットの交流サイト「フェイスブック」だったという。
日本では「ねずみ算方式」という言葉がある。若者たちのデモの呼びかけ、革命の呼びかけが瞬時に、倍々ゲームでエジプト国内に広がったのだ。