A010-ジャーナリスト

東京スカイツリーの最高の景勝地は 下町の4つの河川のどこか?

「最高」とか、「絶対」とか、最上級のことばは作品のなかで、安易に使わないように。小説講座、エッセイ教室で、区民大学などで、受講生たちに指導している。「最高」といっても、多くの場合は書き手の思い込み、単なる強調用語で、根拠がない。そのうえ、すべてを吟味し、比較したうえでないから、最高がほんとうに真実なのか、となると疑わしい。あいまいなケースが多い。

 東京タワーは素敵な形状だ。愛宕山の周辺からみると、豪快に聳(そび)え立つ。それよりも、ちょっと距離を置いた、お台場からみた景観のほうが勝っている、と思う。とくに夜景の場合は、レインボーブリッジ、汐留のビル群の灯火の美観と重なり合い、とても美しい。


 東京スカイツリー(完成時・634メートル)は世界一のタワーだ。押上や業平橋からだと、三角関数ではないが、距離がないし、見上げても、視界が鋭角過ぎてしまう。首を折り曲げて見上げるよりも、隅田川、荒川、中川、江戸川など、川を含めた情感のほうが勝ると思う。ただ、江戸川は遠い。

 3つの川からのタワーを比較すれば、どこが一番か。

     

 大都会の一級河川は、東京湾に近い河口だけに、ほとんどが直線的である。変化が乏しい。中川は葛飾区内にはいると、とたんに「七曲」という蛇行した、特殊な地形に変わる。曲線とは美観を作ってくれる。

 中川の川面には釣り船、モーターボート、水上スキー、小型タンカーなどがつねに行きかう。雨上がりには富士山が見える。
 河川の遊歩道にはつつじ、桜並木がつづく。ずいぶん整備された。
「かつしかハーブ橋」は、世界初の曲線斜張橋で2本の主塔は65m、29mと異なる。S字曲線を描き、見事な立体構造だ。

 写真撮影で、アングルを変えながら、中川の景観と世界一のタワーを取り込めば、千差万別の表情となる。


 大手メディアだけが情報発信する時代は終わった。ブログなどを使えば、誰もが世界に向けた情報の発信者になる。発信者と受信者の境がなくなった、それを情報化という。
 私は、かつしか区民大学「私が伝えるかつしか、歩く、撮る、書く」という講座を受け持つ。一言でいえば、葛飾を発信できるミニ記者の養成講座だ。
 6月11日は今年度の2回目だった。
 講座のなかで、葛飾区内の河川は七曲で、橋もいろいろな形状がある。中川からみた同タワーは『最高の景勝地』だから、大いに発信してほしい、と薦めている。

 3つの川の勝敗は、タワーが完成してみないとわからない。きっと七曲の中川とタワーとの情景はNO1になるだろう、と確信している。

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