論語の『仁』の政治で、日中の友好を=孔健(こう・けん)さん
日本外国特派員協会のプレスクラブで、18日、『論語の精神・最新中国経済情勢秘話』の講演があった。主催は日本経営者クラブ(平野嘉重会長)で、講師は中国人の孔健さん。
日本に来てから23年経つ。現在は日本のTVなどにも出演し、日中問題のキーパーソン。孔子の75代の直系子孫だ、というから中国の歴史の大きさを知る。
110代まで、一人ひとり名前が決まっていると、孔健けんさんはその一部を披露した。孔子から約3500年間も名前が決まっている。日本では考えられないし、驚かされてしまう。
江沢民国家主席(当時)は反日的だった。祖父が日本軍に殺されたことが背景にあったことから、来日した江沢民は1998(平成10)年の宮中晩餐会で、中山服(人民服)で臨席した。
孔健さんはおなじ中国人の立場から見ても、「日本国の象徴である天皇の前で、相手国の元首が取る言動ではない」と無礼で、傲岸不遜な態度だと批判した。
しかし、胡錦濤(こ・きんとう)が首相になってから、『仁』の政治を重んじるようになった。孔健さんは胡錦濤を高く評価する。
最近はそれを受けて人民も『論語』を見直す風潮が生まれた。中国で出版された『論語の心得』が一大ブームとなり、数ヶ月にして1000万部も売れた。ただし、7、8割は海賊版らしいと、会場を笑わす。
日本外国特派員協会のプレスクラブ
有楽町の夜景
中国経済は好景気にある。「経済が豊かになると、人間の心がさびしくなる」といい、いまの中国は『安全と安心が金で買えない』と話す。
上海の薬局で最もよく売れるのが、日本の漢方薬。『日本の漢方薬は、いくら飲みすぎても死なない。安全だ』というのが理由だと教える。
孔子の『仁』とは、人間がふたりして向かい合うこと。そこに信義と愛が生まれる。孔健さんは講演のなかで、終始、日中ともに『仁』の政治をつよく求めていた。