平沢直樹さんが、佐倉マラソンで2連覇達成=悪条件のレースで圧勝
『第26回佐倉朝日健康マラソン大会』が、25日、千葉県佐倉市の佐倉市岩名運動公園陸上競技場で行われた。主催は佐倉市、朝日新聞社ほか。スタートのときは雨で、気温18度、南風。ランナーにとって、冷雨で震えた『東京マラソン2007』ほど、悪コンディションではなかったようだ。
今回は他の事情で、佐倉マラソンの取材に出向けなかった。夕方、平沢直樹さん(埼玉県所沢市、32)から『2連覇しましたよ』と電話で一報が入ってきた。優勝タイムは2時間34分36秒。
平沢選手はフルマラソン97回出場し、今回で19回目の優勝となる。確認はできていないが、優勝回数ではきっと日本一だろう。42.195キロ走りきるだけでも、過酷な体力を使う。そのうえ、5回に1回は優勝だから、心身の強固な選手だ。
1週間前の18日、東京・荒川河川敷で、『第10回東京・荒川市民マラソン大会』がおこなわれた。主催は国土交通省、読売新聞社ほか。平沢選手は強敵ランナーと折返し地点以降も互角のレースをくり広げていた。30キロ過ぎから、優勝争いから外れると、精根尽きたのか、ずるずると落ちて15位だった。
左が平沢直樹選手 右が父親の平沢吉雄さん
(撮影:穂高健一、荒川マラソン大会会場で、18日)
「荒川は自分の限界にチャレンジしたレースでした」と語る。優勝は逃したにせよ、体力の消耗は激しいものがあるはず。
一週間後には、男子総合で優勝したのだから、並のスポーツ選手とは違う。「佐倉は2時間33分台の勝負と読んでいましたから、気持ちに余裕がありました」と語ってくれた。それにしても、強靭な精神力と体力がかね備わった選手だ。
佐倉のレースの展開は、高橋雅一さん(2位)が25キロまで先頭。平沢選手は「風除けを考え、二番手の集団のなかにいました。悪いコンディションで、タイムを狙うと消耗します。東京マラソンの寒さと雨の体験から、私一人がビニールのゴミ袋を被っていました。体が濡れず、体力の温存に役立ちました」と話す。
平沢選手はからだが温まると、ビニール袋を捨てた。優勝経験の豊富さからレースの読みも冷静で、折返し地点でも、トップには立たなかった。勝負は後半と決めていたようだ。先頭集団が一人ずつ落ちてくるのを待ったという。
34キロ地点で、トップに立つ。と同時に、風除けに使われないために、一気に他のランナーを引き離した。あっさり独走となった。
38キロ地点でふり返ると、2番のランナーははるか後方だった。岩名運動公園陸上競技場にもどってきた。最後の直線は両手を挙げ、ゴールテープを切った。
女子の優勝者は加来奈津子さん(埼玉県所沢市)で、3時間12分45秒。男女とも、優勝者は所沢市だった。
20回記念の優勝はどこで達成ですか、と平沢直樹さんに聞いてみた。「北海道の洞爺湖、千歳、あるいは弘前の大会ならば、優勝の自信があります。ただ、遠征費の捻出が難しくて」と語る。
市民ランナーは、実業団と違って経費面でも、大きなハンディーを背負っているようだ。家庭生活を支え、ハードな練習に励み、遠征費を捻出する。それらを克服しながら、優勝回数を積み重ねていく。スポーツのアマチュアイズムの原点を教えてくれる人物だ。
昨年は同大会の3キロの部・女子小学生では、畑田玲子さん(当時小学4年)が優勝した。インタビューに応じてくれた。「あの少女の今年は?」と気になるところだ。
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