東京下町の情緒100景(078 焼肉店)
更新日:2007年9月 2日
街なかには華やかな表の顔、素顔の裏の顔がある。それぞれ好みがあるだろうが、下町の散策は路地とか、裏道とかがお勧めだ。
そこには下町の素朴な飾らない町の姿がある。
私鉄駅前から脇道に入ってみた。さほど込み入った道ではない。商店街が2方向に延びていた。信号を渡った。そのさきの通りから見える一角には、ジンギスカン料理の店舗がある。
いつもながら、看板の動物たちの絵がかわいい。ひつじ、鶏、馬、それぞれが思いのまま遊んでいる。これらの動物の顔を見るたびに、魅入ってしまう。
この店がオープン時から、お客に愛されてきた動物たちだ。
飲食店は客商売だから、店内リフォームなどで、歳月とともに変わっていく。ひとたび裏側に回れば、店の歴史がある。
建物の壁面に残された、煙の煤が店の歴史だ。そこには働く人の呼吸や汗までも刻まれている。
家族連れが乗用車でやってきて、店内に入っていった。ダクトからの煙、香ばしい香りが漂う。下町は気取らず裏側までも見せてくれる。それがひとつの情感になっている。