東京下町の情緒100景(063 水車)
更新日:2007年5月29日
下町っ子は花が大好きだ。狭く入りこんだ路地裏でも、可憐な花を植える。そして、咲いた花は近所づきあいの話題を取る。行きかう人たちの目を楽しませる。
下町っ子は駅前アーケード街の路肩も見逃さない。プロの庭師から、大学生、小学生までもが、テーマ花壇の腕前を競う。いまやフラワーロードと名づけられた。展示された造形花壇が延々とつづく。
水車がみえてきた。水路はないけれど、雨が降れば、背後の情景が濡れる。朝日が射せば、田舎の夜明けをほうふつさせてくれる。昼間でも、情感豊かな気持にさせてくれる。
下町には潅木や庭木が少ない。水車の側では、一本の樹木が情緒ある風景をつくっている。水のない水路の側で、四季の花が咲く。
いまにも『カタカタコットン、カタカタコットン』という童謡が聞こえてくるようだ。