東京下町の情緒100景(043 踏切)
更新日:2007年2月28日
ママの生まれた家と、パパの生まれた家は遠いんだよね。踏切を越えなければ、行けないんだよね。小学校も中学校も、別々で、踏切の反対側だよね。
でも、学校の屋上に上がれば、両方がいっぺんに見えるんだって。ママに聞いたよ。
踏切があるから、1人で、おじいちゃん、おばあちゃんの家に遊びに行っちゃあ駄目なんだよね。絶対1人でいかないからね。ぼく、お利口だから、約束守るよ。
ママとパパは、高校になって初めて知り合ったんだよね。おんなじ駅から赤い電車に乗って、遠い、遠い学校に通ったんだよね。
この踏み切りはいつかなくなるんだよね。そしたら、赤い電車は高いところを走るんだ。運転手さんに手を振ってあげられなくなるから、さみしいな。
踏切がチンチン鳴り出したよ。パパ急いで。