東京下町の情緒100景(釣り人 023)
更新日:2006年11月14日
釣り人の談義は面白い。
立ち止まったウオーキングする住民が、何が釣れるのかと聞く。うなぎを狙っていると教える。とたんに、過去の自慢の成果が語られる。
きょうは獲物が何一つない。バケツは空だし、申し訳ていどに水が入れられている。うなぎは利口らしい。
成果がないのは、東京湾から川に上がってくる潮が良くないからだの、護岸補強の工事の影響だのと、言い訳もかなり上手だ。
足を止めた以上は下町の情で、しっかり耳を貸している。
天然のうなぎは一匹3000円になるという。それも釣れたらの話しだ。ひとりが頃合いを見て、立ち去る。また誰かしらが立ち止まる。
きょう獲物が取れない講釈が繰り返される。釣り人は時おりリールを巻き、竿を上げてみせる。むろん、うなぎは上手に逃げている。