東京下町の情緒100景(キロ塚 018)
更新日:2006年11月 6日
ここは海まで左岸8キロの小名木川。荒川、中川、綾瀬川が合流地点する。海から1キロごとの表示があるから、立地がつかみやすい。
かつては石標だった。一里塚とも呼ぶべきものだろう。いまは洒落た掲示板になった。『夢虹色あらかわ』と色彩も派手だ。現代版のキロ塚だともいえる。
キロ塚は上流の埼玉県まで、三十数キロにわたり記されている。キロ塚も場所によっては風采が違う。さらに荒川源流まで表記されているかとなると、わからない。
左岸8キロの掲示板には『荒川の下流30景』が紹介されている。歴史的な由来とか、史実とかだ。
『中川の水路は、江戸の経済を支えていました』と、イラストで川舟を描き、河川を説明する。時代を感じさせる。頭上の高速道路では、トラックが頻繁に行きかう。
『田の神様は田を守り、豊作をもたらす、ありがたい農村の神様なのじゃ』と、和尚さんが由緒ある寺だと教える。むろん、いまや田園など微塵もない。
『洪水のときに鳴らした半鐘じゃよ』と鐘楼が紹介されている。洪水が出ないように、護岸はしっかりしている。
現代版となると、セルロイド人形の展示場、公立学校、専門学校、マンションなど妙に味気なく思える。川辺には野鳥がいろいろ生息している、と表記されているが、鳥の名前など書かれていない。