【寄稿・被災者の詩】 遠き 福島 =鈴木會子
作者紹介:鈴木會子さん。かつしか区民大学「私が伝える葛飾」の受講生。
住所は福島県双葉郡楢葉町山田岡である。3.11の東日本大震災のとき、鈴木さんは海岸を散歩していた。巨大な大地震が発生。危険だ、津波が来る、と判断し、走って高台のわが家に逃げた。そこから大津波が襲ってくるのがわかったという。
楢葉町はフクシマ原発から20キロの地点にある。鈴木さんは40年間住みなれた町を追われた。4月3日から、葛飾区の都営住宅に移住してきた。
「葛飾を知るために講座を申し込みしました。ところが、葛飾を紹介する区民記者の養成講座でした」と笑う。取材活動を通して、葛飾が活気にある町だ、と知ったという。
「講座仲間ができました。暗い話題ばかりでなく、私には明るい話です」と現在の心境を話す。
掲載作品『遠き 福島』について。7月30日には一時帰宅できる通知があった。約1週間前は興奮して眠れず、深夜2時に書いたものです」と説明する。
遠き 福島 鈴木會子
なが年住し 古里おわれ
ぽつんと3人 東京ぐらし
いつまで続く この先の
みえない不安と この気持ち
どこまで広がる 放射能
福島 日本 空を越え
海流のって 世界中
汚染の波が 広がって
ストロンチューム セシュームと
30年の おつきあい
小さな命を 守るため
今ある命を 生かすため
皆で知恵を 出し合って
この災難を のりきろう
今の時代を 生きぬこう
未来に続く この国の
大事な命を 守りぬき
今の務めを 果たそうよ
福島はなれ 四ヶ月
あの山 あの海 あの景色
まぶたに浮かぶ 古里は
美くしままの 四季の色
思い出のこし 遠き地で
生きねばならぬ この先は
何年続く あてもなし
今を輝き 生きるため
明るい未来を 夢にみて
あい子