【写真エッセイ】寸前で命拾い、ステント挿入で生延びる=川上千里
鍛錬のつもりで苦しさを我慢して歩き、危うく心臓麻痺を起こす寸前でした。
医師の素早い判断で、心臓発作が起きる前にステントが挿入され、命拾いをしました。
急に入院
76歳にもなると足が弱って、駅まで急ぎで歩くと、息苦しくなります。冬は冷たい空気を吸い、胸が痛く感ずることがあります。
足を鍛えるつもりで、苦しさも我慢して、早歩きしていました。
今年の冬は寒さが厳しかったためか、よけい苦しく感じました。少し心配だったので、知り合いの先生に電話したところ、それは狭心症にほぼ間違いない、入院の支度をして、明日病院に来るようにと指示されました。
翌週から女房と海外旅行の予定をしていましたが、命と旅行のどちらが大切だと言われ、やむなくキャンセルしました。
撮影:榊原記念病院 4月4日の診察日
この先生は、笑い学会で知り合いになった、心臓外科専門病院・榊原記念クリニックの院長である住吉先生です。大先生なので恐れ多く、逆らうどころではありません。
大げさな話に驚きましたが、どうせ診察すれば大したことなく、無罪放免になると気軽に考えていました。
入院と医師の判断
心電図には全く異常はないのに、先生は私の症状を聞いて、狭心症にほぼ間違無いと言い切りました。
心臓に栄養を送る冠状動脈が狭くなっていると、息苦しくなったり、胸が痛くなったりする。特に寒い時には血管が痙攣状態になり症状が出やすくなる。これがひどくなると心筋梗塞になり、命取りになると話されました。
翌日の診断とステント留置
手首の動脈から冠状動脈にカテーテルを入れて、造影剤を注入、診断の結果は3本ある動脈の1本が狭くなっており、血流が25%しかないとのことで、ステント挿入の方針が決定しました。
ステントとは細い網状の金属の管で、狭くなった血管を広げ、そのまま中に残します。
約1時間で、直径3mm、長さ2cmのステント留置術が終了しました。
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写真:退院の日 1月26日
治療処置後
1時間ほどで処置が終わり、病室で待っていた女房も、ほっとしたようです。
処置後3日目には、手首の傷跡も治癒し、退院となりました。ステント部位には血栓が出来やすいので、当分は血液凝固防止剤や血管拡張剤、コレステロール低下剤などを毎日服用することになりました。
ちなみに、治療費は1,229,580円、自己負担89,000円と差額ベッド三泊75600円。
処置前 中央の動脈が狭窄 処置後 狭窄部にステント挿入
今後の注意
血液凝固防止剤の服用とニトロの携行、水分補給、暑さや寒さへの注意、などが指示されました。
1ヵ月後の診察時、うっかりニトロの携行を忘れ、厳しくお叱りを受けました。
ステントを入れたとはいえ、危険な体質はまだ残っています。
心臓病は紙一重で生死を分けることがあるのです。ニトロで他人の心臓発作を助けた人が、自分は発作時にニトロに数十センチ手が届かなくて命を落とした話も聞きました。
いつも携帯するのは勿論のこと、二階にも、居間や寝室にも、手の届くところにはニトロを置くように指示されました。
せっかく、助けてもらった命を、自分の不注意でなくすのは申し訳ないことです。
重篤な発作が出る寸前で、発作が無いのが不思議だと言われました。事前に処置できて幸運でした。
住吉先生の的確な判断と多くの人に支えられて、せっかく助かった命です。もうしばらく大切にして、生きたいと思います。