話題にはこと欠かない、真鶴半島自然観察&ハイク = 市田淳子
日時:2017年3月18日(土)JR真鶴駅9:00集合
メンバー:L市田淳子 渡辺典子、栃金正一、中野清子、開田守
コース : JR真鶴 ~ 真鶴港 ~ 貴船神社 ~ 灯明山 ~ 森林浴 ~ 遊歩道 ~ 番場浦遊歩道 ~ 潮騒遊歩道 ~ 三ツ石海岸(昼食) ~ ケープ真鶴 ~ 御林遊歩道 ~ 中川 ~ 一政美術館 ~ 岬入り口 ~ 真鶴港近く(反省会) ~ JR真鶴駅
真鶴は話題に事欠かない場所だ。
石材業は漁業と並ぶ産業で、「小松石」は江戸城の石垣にも使われた。所々に見られる歌碑も小松石なのだろうか。
歴史的にも面白い場所のようだが、今日の主役は海と山。真鶴駅から海を眺めながら下って行くと、真鶴港に着く。
カモメたちが集まりイソヒヨドリの美しい声が聞こえ、山行とは違う趣だ。海の反対側に貴船神社がある。この日一番の難所と言ってもいい急な階段を登ると、本殿が現れ周囲にはサクラが咲いていた。
海の神様を祀った神社で、漁の無事と豊漁を祈る。貴船神社をあとにして、港の岸壁に整備されている遊歩道を歩く。釣りをする人、岩場で遊ぶ親子、海をぼーっと眺める人、犬と散歩する人…山と同じように海は人々を魅了する。
港の橋まで行くと、真鶴半島がだんだん大きくなって来て、いよいよ御林に向かって歩く。アスファルトの車道は車で岬に行く人たちのためだが、できれば土の道が欲しい。
少し歩くと山道の入口があり、やっと土を踏みながら歩ける。地元の人たちは、海に恵みをくれる森を「御林」と呼んで大切にしてきた。
その御林は「魚つき保安林」として保護されている。
「木々の枝から海面に落ちる虫を求めて魚が集まる」
「樹木の影を魚が好む」
「森から海に注がれる栄養豊富な地下水に、魚が好むプランクトンが集まる」
などの諸説があるようだが、どれも本当に思える。
御林には巨木が多く、5人で手を繋いでやっと木の周囲を囲むことができるようなものがたくさんあった。クスノキ、スダジイ、アカマツ、クロマツといった照葉樹の森で、奥多摩や丹沢の山々と違い鬱蒼としている。
半島にしっかり根を張って強い潮風を受けながら、何百年もの月日を過ごしてきたのだろう。
暫く歩くと道は下り坂になる。
三ツ石海岸が近い。潮騒の音、潮風、明るい太陽の光、海岸の植物、山から海に到着。海抜4mの海岸で昼食にした。上空を時折トビが飛翔するが、トビの食事は自然食にしてもらおう。
昼食後はケープ真鶴に登り、再び御林を歩いて中川一政美術館へ向かった。
御林の片隅にひっそりと佇む美術館。97歳で亡くなるまで、描く欲望を捨てなかった中川一政氏の人生と作品を始めて知って圧倒された。
自然ばかりでなく同時に芸術にも触れることができたことは本当に贅沢なことだ。さらに贅沢なのは、港の近くにある定食屋さんで、地元の魚をお腹いっぱいいただいたことだ。
アジが有名で、アジのたたき、豆アジのフライ、そして、たたきに使ったアジの頭と骨を揚げてもらった。こうして、山、海、芸術、味覚の四つを楽しんだ贅沢な一日だった。(森林インストラクター)
ハイキングサークル「すにいかあ倶楽部」会報№210から転載