【孔雀船105号 詩】 思惑 岩佐なを
更新日:2025年4月23日
むかしむかしあるところに
も姉妹が次々生まれて徐々に
育って散り散りに歳を重ね
それなりの役目を果たして
死んでいった
あたりまえっちゃぁあたりまえに
皆の衆京橋は御存じか
(大阪ではなく東京のほう)
新富町はどうですか
そのあたりは聖路加病院が
あるために米軍のビイニジュウクの
爆弾から逃れられたと
言われているのだけれどほんとかな
生まれた姉妹たちは拒んでも
育ち時間は前にしか進まず
あまつさえ非情にも後々
幻子さんは生麦に賞子さんは葉山に
燐子さんは八街に頓子さんは海神に
移って命を燃やしていき
胡桃さんは幕張に夜雨さんは鵠沼に
引っ越して行ってまぁ長くなるから
誰と過ごしたかは割愛するとして
そのあたりでどんどん古くなって
死んでいったとすると新富町から
千葉方面へいった千葉派
神奈川方面にいった神奈川派
大別できるわけで
どちらがいいとかわるいではなく
生まれてから亡くなるまでの
動いた道のりを実線で断固として
地図に描きたいのが思惑であり
追善ならではの心意気と
そのために姓名は付与されたのだし
もちろん当方の手腕は
高級色鉛筆で個人個人の色を変えて
わかりやすく工夫するつもり
老後の力ふり絞って
出生地は金の身籠り地は銀の
丸をつける
色鉛筆では金銀は特別色だからね、
さてと。
【関連情報】
孔雀船は105号の記念号となりました。1971年創刊です。
「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳
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