A040-寄稿・みんなの作品

【孔雀船105号 詩】 思惑 岩佐なを

むかしむかしあるところに
も姉妹が次々生まれて徐々に
育って散り散りに歳を重ね
それなりの役目を果たして
死んでいった
あたりまえっちゃぁあたりまえに

皆の衆京橋は御存じか
(大阪ではなく東京のほう)
新富町はどうですか
そのあたりは聖路加病院が
あるために米軍のビイニジュウクの
爆弾から逃れられたと
言われているのだけれどほんとかな

飛行機.jpg

生まれた姉妹たちは拒んでも
育ち時間は前にしか進まず
あまつさえ非情にも後々
幻子さんは生麦に賞子さんは葉山に
燐子さんは八街に頓子さんは海神に
移って命を燃やしていき
胡桃さんは幕張に夜雨さんは鵠沼に
引っ越して行ってまぁ長くなるから
誰と過ごしたかは割愛するとして
そのあたりでどんどん古くなって

死んでいったとすると新富町から
千葉方面へいった千葉派
神奈川方面にいった神奈川派
大別できるわけで
どちらがいいとかわるいではなく
生まれてから亡くなるまでの
動いた道のりを実線で断固として
地図に描きたいのが思惑であり
追善ならではの心意気と

そのために姓名は付与されたのだし
もちろん当方の手腕は
高級色鉛筆で個人個人の色を変えて
わかりやすく工夫するつもり
老後の力ふり絞って
出生地は金の身籠り地は銀の
丸をつける
色鉛筆では金銀は特別色だからね、
さてと。

思惑(岩佐).pdf


【関連情報】
 孔雀船は105号の記念号となりました。1971年創刊です。
「孔雀船」頒価700円
  発行所 孔雀船詩社編集室
  発行責任者:望月苑巳

 〒185-0031
  東京都国分寺市富士本1-11-40
  TEL&FAX 042(577)0738
  メール teikakyou@jcom.home.ne.jp

イラスト:Googleイラスト・フリーより

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