【孔雀船105号 詩】かきつばた 藤井 雅人
更新日:2025年4月23日
淫雨の下に 群れ集まった緑の剣が
逆さ立ち おまえに告げる
――逸走する不住のこころの
ここが 辿りついた終端と
橋は折れ曲がり
透いた泥濘に足は行きなやむ
雫が身に細穴をうがつなか
胸うちの堰は黒い水の底にしずむ
緑の剣が いっせいにそよぎ 反りかえる
(からころも きつつなれにし つましあれば)
宙にゆらぐ 青い炎たち
ひとつひとつの 花のつめたさが
おまえを迎えとるだろう
氷に熱した舞いの渦に
ひややかな錯視の檻に
(はるばるきぬる たびをしぞおもふ)
【関連情報】
孔雀船は105号の記念号となりました。1971年創刊です。
「孔雀船」頒価700円
発行所 孔雀船詩社編集室
発行責任者:望月苑巳
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