A040-寄稿・みんなの作品

【寄稿・詩】スーパーマンの孤独――《孤独はいつも黄金色》 =望月苑巳

2010年9月、国際ペン東京大会が開催されました。望月苑巳さんが「詩の部会」のアンソロジーに載せた作品を寄稿して頂きました。

 望月さんは日本ペンクラブ「会報委員会」の委員です。現在はジャーナリスト、詩人、映画評論家として活躍されています。


                                日本語版の縦書き


                                英語版の詩


                               写真提供:望月苑巳さん

スーパーマンの孤独――《孤独はいつも黄金色》     望月苑巳



スーパーマンといえばヒーローの元祖だ

誰が何と言おうともぼくのヒーローだった

空がとべたらいいな

凄い力持ちだったらいいな

不死身だったらいいな

そんな願いを叶えてくれたから

ヒーローだったんだ


飛べないスーパーマンに向かって

子供たちは「飛べ!飛べ!飛べ!」と叫ぶ

こぶしを振り上げ叫んでいる

そこでヒーローは仕方なく苦笑い

それから

泣き顔になる

「どうしてスーパーマンが泣くの?」

そして今度は子供たちが泣き出す番だ

針金で吊られていたヒーロー

真実はそんなもんさ


悲劇と喜劇は背中合わせ

戦争と平和が隣り合わせと同じように

それに気付かない人たちが

大人になって戦争を始める

こぶしを振り上げて

ヒーローはいつだって悲しいものだ

真実という器には

いつも孤独だけが

チャプチャプと注がれている

Solitary Superman      Sonomi Mochizuki


Superman is immortal, invulnerable
Perhaps others diasagree
But he was my hero.
I wanted to fly up in the sky
To be a big, strong man
Indomitable.
In him, all of my wishes were fulfilled.
So he was my hero.
Superman.

Kids shout at the standing superman
Fly! Fly! Fly!
They shake their clenched fists and shout.
Superman can only manage an embarrassed smile.

He is in tears, crying.
Why does superman cry ?
The kids are crying too.
The hero is lifted into the sky by wires.

Tragedy and comedy sit back to back
Two sides of the same coin
Like war and peace.

People grow up
Start wars
Shake their fists at the world.
Heroes are always sorrowful figures.

Truth moves up and down
In and out
Solitary
Like the flow of water.
Slurp. Slurp.

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